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ベアーも世界を救います!?  作者: NORIKO
第一章 始まる螺旋
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第2話 クマのストラップと共同生活開始!?

ガタガタ・・・ガタガタガタガタ・・・!


暗い部屋でライトスタンドに照らされた机の上のスクールバッグが暴れる。



「酷い!!出してよ!!

これは重大な罪だ!!

ストラップ虐待の罪で、50年は刑務所に入ったって文句は言えないよ!!」



訳の分からないことをモゴモゴと叫びながら暴れ回るクマのストラップに



「そんな罪聞いたことないわよ!!」



とちゃんとツッコミを入れちゃってるこの状況も訳が分からない。


机の上でちょこまかと動き回り、

淡々と話かけてくるクマに、

私は気が動転して、頭の中は恐怖だかなんだかもう分からない状態だった。


しかし、



「ひまりちゃん。それよりさ?」



次の言葉で我に返る。



「その可愛いパンツは、僕へのサービスで見せてくれてるの?」



と小首を傾げ口元に真ん丸な手を当てるクマ。


顔に血が登る感覚がする。


あぁ、ありがとう。おかげで落ち着いた・・・。



「こん中にずっと入ってなさぁぁぁぁぁぁあい!!!!」



「ぎゃっっ!!」




スクールバッグのファスナーを開け、

思いっきり教科書と筆箱の間に押し込んで、

しっかりと閉じた。



このような一連の出来事を得て、今の状況なのである。


お分かりいただけただろうか。


私の今の気持ち、お察し頂きたい・・・。




「ほんっと!可愛い顔してやる事はえげつないよね!!出してったら!!」



「うるさい!デリカシーすらもない、喋って動くクマって、どこまで最悪なのよ!!

明日になったら速攻でさよならよ!

大人しく持ち主の元へ帰りなさい!」



相変わらず減らず口のクマ。


しかし、ピタッと動きが止まる。



あれ・・・?



じっとスクールバッグを見つめる。



やはり動かない。喋りもしない。



動けるタイムリミットでもあるのだろうか?



どちらにせよ、やっと平穏が訪れた・・・。



そう思ったのもつかの間。




ジジ・・・ジジジ・・・ジー




ファスナーがひとりでにゆっくりと開く。




「え・・・えぇぇぇ・・・!?」




またもや奇想天外な出来事に声が漏れる。




ピョンっ!




と飛び出すクマのストラップ。


残念。タイムリミットは存在しなかったようだ。




「へへっ、びっくりした?

僕ね、人が作った物とは相性が合うみたいでこれくらいなら操ることが出来るんだっ!!」



はぁ・・・体中の力が抜け、

パタリとベッドに座り込んだ。



「何それ・・・どこまでも気色が悪いのね。」



このストラップにはお手上げだ。



「気色が悪いなんて酷いな〜。これ結構疲れるんだよ〜?」



そう言って、短い足を投げ出した形で机の端に座るとパタパタと揺らしてみせる。



「ひまりん、頑固だからこうでもしないとでてこれないし・・・。

もう、いじわるなんだからっ!」



どこぞのオバサマのように手まねきしながら話すクマは、一体どこでどうして言葉を覚えたのだろう。



「何その喋り方・・・」



気づけばもう恐怖は消えている。



「あらやだっ!」



なんかオカマっぽい冗談を交えながらクマは一人で止まることなく話続ける。



「それより、僕を持ち主に返すって言ってたよね?


それ、無駄だよ?」



「無駄?」



相変わらず理解の出来ない事をいう。


ならばどうすれば良いというのか。


再び頭が混乱し始めた。



「青木琢斗はもう僕の事は覚えていないんだ。」



悲しそうに俯いた仕草をして見せる。



「覚えていないってどういう事?だってあなたは確かに青木くんが落としたストラップじゃ・・・」



クマはスっと私の瞳を見つめる。



「青木琢斗の復讐は終わったからね。」



「復讐・・・?」



復讐なんて恐ろしい言葉にゾッとする。

さっきまでとは違う何とも言えない恐怖を感じた。



「そう。だから今度はひまりんの所に来たんだよ?」



そう言われても、自分は復讐なんてそんな事考えてもいやしない。



「私は復讐なんかそんな事は・・・」


「違うよひまりん。」



私の言葉を遮る様にクマはいう。



「ひまりんの孤独をね、僕が晴らしてあげるんだ。

ほら、これはひまりんの叫びの塊でしょ?」



「やめてッ!!!!」



クマは迷うこと無く私の机から赤い日記帳を引きづってくる。


私はそれをすかさず奪い取った。



「ごめん、ひまりん。

でも、ひまりんの悲しみ僕にはすっごく分かるんだ。」



日記帳を抱える私に続ける。



「僕もね、とっても辛くて寂しいんだ?

ストレスでこの目が飛ぶかも、いやもしかしたら首がすっ飛ぶかもしれない!!!」



頭を抱える仕草をして見せる。



「だからさ、ひまりん、僕と自由になろうよ?」




クマは立ち上がり、

しっかりと私を見つめる。

まん丸で可愛らしいのにどこか冷たさが漂う瞳。




「君の復讐が、僕の復讐なんだよ。ひまりん。」



クマはピョンっと机から飛び降り、またピョンっと跳ねると私の膝の上に立った。



「僕はロッキー!今日からよろしくね♡」




まるで握手を促すように短くてまん丸な手を私に差し伸べるクマ。




「え?待って、しばらくずっといるってこと?」




「もちろん!」




「えぇぇぇぇえ!?」




こうして、謎の生命物体との共同生活が始まったのである。



助けて・・・




つづく・・・









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