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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
金山の迷宮と鎮魂歌
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【二】

 洞窟内は三人が横に並んで歩ける程広く作られており、金山というのはこんなにも広い穴を掘らないといけないのかと疑問に思った要が隣を歩く光に尋ねると、

「まあ、さっきみたいに戦闘があるし、ある程度は動きやすい様に広く作られてるんじゃない?」

 彼は更に言葉を続けると、

「それよりも」

 と、言葉を作って洞窟の壁に貼り付けられているロウソクや松明に目をやる。

「閉鎖されてるのに明かりが点いてるのはどうなの?」

 そう言って自分たちを優しく照らしてくれる光源に対して文句を言った。

「でも、真っ暗だと私達何にも出来ませんよ?」

「まあ、そうなんだけどさ。どこかで光源を用意しなきゃ中を探索出来ないようにするとかさ、それもクエストにしちゃってさ。あとは暗くても視界がはっきり見える技能を作るとかさ」

「自分達で明かりを用意するってのはちょっと面倒臭そうで面白いですね?」

 葵が変わった言い回しで返事をした。


 次に姿を現したのは侍と遊女の二人組で、一見すると何も関係が無さそうな組み合わせではあるが、

「ゲームの中の話ってのは分かってますけど、こういう組み合わせで出て来られると困ります」

 日本刀を抜いて構える二人の後ろから葵のそんな声が聞こえる。どういう事かと不思議に思った光が、慣れた手つきで要にバフを掛けながら、

「どういうこと?」

 と、尋ねると、

「いや、きっとあのお侍さんはこの金山の入り口を見張っていた人で、暑い日も寒い日も毎日真面目に入り口に立ってお仕事をしていて、そんな頑張ってる姿をあの遊女さんが陰ながら応援してたんです。で、徐々に挨拶を交わしたりして、ゆっくり仲良くなっていって、周りに見つからないように隠れてお付き合いしていたのかなぁ、とか考えちゃって」

「妄想力がスゴイな」

 光は呆れたような関心したような声を上げた。

 そんな二人を他所に要は一人、侍へと切り掛かっているが相手の刀で止められ、再び一進一退の状態になっている。そんな激しいバトルが繰り広げられているやや向こう側で一人佇む遊女は、懐から一本の扇子を取り出すと、小さな声で、

「技能:鼓舞」

 言って、ゆっくりと舞い始めた。

 敵が技能を使って来るという事に驚いた事もあるのだが、戦闘中である要も含めて三人は、扇子を持って舞う彼女の姿から目が離せなくなってしまった。その舞は短いものですぐに我に返るが、それと同時に遊女と侍の攻撃力が上がる。

「げ、今の踊り全体バフだ!」

 打ち付け合う刀に力を入れて弾いた要は、目の前の侍と一度距離を取って言った。

「要、活躍のチャンスだよ!」

「言われなくても分かってる」

 要に急かされる様に、光は攻撃力低下のデバフを侍へと掛け、すぐに後ろで待機している遊女へも掛ける。そして、今度は防御力低下も掛けるのだが、これも先程と同じように二人に一回ずつ掛けなければならない為、

「なあああ!一体ずつって効率悪すぎだろ!」

 愚痴を零しながらもウインドウに表示された防御力低下を押し続ける。そんな忙しそうな彼に、

「光さん、こういう場合はどちらから攻撃した方が良いんですかね?」

 弓を構え弦を引っ張った葵が言う。

「向こうのバフは俺が消すから要の援護してあげて。仮に後ろが回復してくるようなら、先にそっち倒した方が効率良いけど、とりあえず今回は手前から」

「はい」

 と、頷いた彼女は、

「技能:集中」

 呟いて、小さく息を吐き出すと、それが止まった瞬間に右手を離した。

 勢い良く飛びだした矢は、日本刀を構え直す要の顔のすぐ横を通過して、彼と相対する侍の元へと飛んで行き、額へと直撃した。意外にも侍は、その一撃を食らっただけで倒れ、目の前に居た要は拍子抜けだというような表情で光へと視線を飛ばしてくる。

「振り向かなくて良いから」

 そう言って、一人残った遊女を指差した。

 彼女は手に持ったままの扇子を再び開いて、もう一度舞いを踊ると、元から薄く向こう側が透けて見えているような彼女の身体が更に薄くなっていき、静かに姿を消した。そして、その場に報酬である箱が出現する。

「これは戦闘が終わったって事で良いんですかね?」

 最後方にいた葵が呟くと、

「報酬出てるし、そうなのかな?」

 光も同じように疑問を持ちながら答える。

「もしかすると、遊女の幽霊には攻撃する術が無いのかもしれない。最初、技能使って来た時は厄介な敵だなって思ったけど、それしか出来ないって事なら消えた理由も分かるし」

「私は、あの遊女さんがお侍さんを追い掛けて行ったんじゃないか?って思うんですけど」

「まあ、確かに消えた瞬間、葵のその設定が結構リアルで当たってるんじゃないかって気はちょっとした」

 笑いながら話す光と葵の元に、報酬の箱を持った要がやって来て、

「なんか、出たぞー」

 蓋の開いたその中には、小さな木の板と黒い石が入っていた。

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