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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
向き不向きと職人の道
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【六】

 新町から横道へと逸れて金山へと続く山道を進んで行く。道が細くなり馬が全速力で走れなくなると、三人はそれらをしまって今度は徒歩で向かう。

 前回やって来た時に山賊と遭遇した場所の近くまで来ると、先頭を行く要は注意深く辺りを見回しながら慎重に進む。その後を追い掛ける葵はそんな様子の要の事が気になって、

「どうかしたんですか?」

 と、尋ねると、

「いつ山賊が出て来ても良い様に警戒してるの」

「なるほど。そういえば、この戦闘って相手に気付かれずに攻撃って出来るんですかね?」

 動かしていた首を止めた要は、ゆっくりと後ろを振り返り、

「山賊を見つけて、葵が遠くから狙撃するみたいな事?」

 言うと、

「まあ、そんな感じですかね?あとは、背後から切り掛かったりとか?」

「出来るんじゃない?もしチャンスがあれば狙ってみよう。こういうのは早めに分かった方が良いし」

「そうですね」

 言った葵はウインドウを開いて技能一覧を見つめる。

「何か役に立ちそうな技能はあったかな?」

 その声を聞いた要が再び振り返って、

「新しい技能覚えるの?」

 眉をしかめて不思議そうに尋ねた。

「製作に興味はありましたけど、闇市場であれだけ安い武器や防具が手に入るなら、製作の技能はもう少し後でも良いかな?って思って。冒険して素材を集めるにも戦闘技能がたくさんあった方が楽でしょうし、始めたばかりでお金もありませんしね?」

 笑顔を向けて言うと、すぐに技能一覧へと視線を戻す。そんな彼女の後ろにいる光も同じように技能一覧と睨めっこをしている。

「光は大分悩んでるけど、取りたい技能は決まったの?」

「いや、まだ迷ってるんだけど、これって同じ技能に複数ポイント振れたりするんだ?」

「え!?そうなの?」

 驚いて技能一覧を開く要に、

「技能によって色々ですけど、気力消費が減ったり、純粋に攻撃力が上がったり、連続で使えないように時間が取られてるじゃないですか?あれが減ったりするみたいですよ?」

 葵がそう説明し、更に続けた。

「でも、最初は技能のレベルを上げるよりも種類をたくさん取っていった方が良いと思います」

「それはなんで?」

 まだ一つの技能を覚えていない光は、ウインドウから目を離し葵に尋ねる。

「色んな技能を試しに使ってみて、気に入った物を最終的にポイントリセットで振り直すのが効率良くて、自分も納得出来るかな?って」

「なるほど」

 そう頷きながら技能を眺める光は、葵の言葉に背中を押されたのか、気になった技能全てに指を触れていく。


 鬱蒼としていた木々が一瞬姿を消し行く先が明るくなっている。

 先頭を歩いていた要がゆっくりと歩みを止め、視界が開けた先を凝視するように見つめる。三人の歩く道はこの先で大きく左へと曲がっており、その先がどうなっているのかは切り立った崖で見えないのだが、山から流れ出した小さな小川で出来た谷を挟んで反対側に道の続きが見えていた。

 そこは少し広く場所が取られ、長椅子や机、焚き火などが見えている。普段は山を利用する人間にとっての休息の場所になっているのだろうが、どうやら今日は違うらしかった。明らかに山賊だと分かる男三人が火の周りに集まり話をしている。

 遠目からそれを確認した要が、

「これ、チャンスなんじゃない?葵、使えそうな技能取った?」

「当たるかどうかは分かりませんけど、武器も強くなってますし、狙ってみます」

 力強く頷いた葵は、ゆっくりと足を進める。谷に向かって傾斜になっているぎりぎりまでやって来ると、ゆっくりと弓を構えて深呼吸をし、

「技能:集中」

 呟いてから少し息を吐き出し、

「技能:遠矢」

 弓を放った。こちら側から反対側に座る山賊との距離はおよそ六十メートル。動いている物を狙うのはかなり厳しい距離ではあるが、葵の射た矢は背中をこちらに向けて座っている山賊の右肩に見事命中した。突然肩を射抜かれた山賊は衝撃で前のめりに転がり、その状況を見ていた他二人は、いきなりの事に慌てふためいている。そして、その中の一人が、矢がどこから飛んで来たのかを急ぎ確認しようと三人のいる対岸へ体と視線を向ける。

「あそこだ」

 その声と共に道を辿ってこちらへと走り出した。


「あいつらがこっちに来るまで打ち続けてくれる?」

 要の要望に葵が頷いて、

「技能:継ぎ矢」

 放たれた矢は一番最後尾を走っていた既に負傷している山賊の右肩に再び命中した。その後も何本か放ってはみるが、技能の回復が追い付かない為、ほとんど外れてしまった。

「よし、じゃあ俺も行って来る!」

 楽しそうに言う要は、縮地を使って敵との距離を一気に縮める。その様子を後ろから見ていた光は、

「あいつ、縮地使うのホントに上手くなったな」

 感心したように呟いていた。

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