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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
催し物と出雲阿国
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45/296

【十】

 一進一退の攻防が続く要たちの元に馬に乗り颯爽と現れる光。彼の馬は斜面から軽く飛ぶようにしながら敵の背後に続いている道に降り立ち、葵が攻撃をしていた山賊に一蹴りを加えると、形勢は光たちへと傾く。

 蹴られ体勢を崩した山賊に葵の矢が次々と刺さり、注意を要から外してしまったもう一方の山賊には要の攻撃がクリティカルでヒットした。

 光が馬を降り、二人に駆け寄ると、要の服がボロボロになっているのに気付いた。しかし、自分が相手をしていた敵はまだ山の中にいるので、

「俺が引き連れてった山賊はまだ山の中にいるんだ」

「え、そうなの?簡単にやっつけて駆けつけてくれたのかと思った」

 ダメージの割に要の表情は明るく、傷自体も大したこと無いのだと感じるが、

「きっと、残りの山賊は光さんを追ってこっちに向かってると思いますから。要さん、急いでこの薬飲んでください」

 そう言って葵は、自分が持っていた薬を取り出した。


 要が受け取った薬を飲んでいると、山の中から草を踏みしめる音や枯れた小枝を踏んで割れる音が聞こえて来た。

「相手は一人だけど気を引き締めてこう。明らかに強くなってる感じがするし」

 光の言葉に同調するように

「一応、私たちもレベルは上がってるんですけどね?」

 葵が言って、弓を構える。光と要も同じように武器を構え、一歩二歩と前へ進んで行く。そこに顔を出した山賊は、倒れる仲間二人を見て驚いた表情を作り、その後、三人と相対している自分の状況を確認して眉をしかめた。

 自分が圧倒的に不利だというのは分かり切っているだろうし、そう考えた光は走り出し、一気に相手との距離を詰める。それと同時に山賊は先程と同様に自分の懐へと手を入れ、煙幕を取り出そうとするが、距離を詰められた光に隙だらけの状態を狙われ、武器として持っていたナタを落とされる。それに続くようにして葵の矢がもう一方の手を射抜いた。


 結局、終わってみれば圧勝という形で戦闘は終了したのだが、

「敵、強くなってるよね?」

 要が不安そうに呟いたのを聞いて、

「武器はこのままで大丈夫かもしれませんけど、やっぱり防具ですかね?」

 葵は言いながら自分たちの着ている装備に目をやり、初期から何も変わっていないそれを軽くつまんで渋い顔をしている。

「新町に戻って防具だけでも買って来る?」

 光の提案に、

「届け物のクエストを先に終わらせてさ、大きい方の町を見に行かない?次の町は組合とかもある訳だから武器とか防具とか自分たちで作れるかもしれないしさ!で、その後、金山に戻って来る訳だし、ついでにクエストの報告も出来るでしょ?」

「とりあえず、一回新町に戻る感じか。葵もそれで良い?」

 彼女は二度首を縦に振って頷くと、

「山賊十人を倒すっていうクエストは大変ですけど、もしかしたらこの辺にキノコ生えてるかもしれませんし、探しながら戻りましょうか?」

 三人は来た道をゆっくりと徒歩で戻りながら、時折道を逸れては山の中や川近くまで足を伸ばしてキノコを探した。緑や茶色、黒と言った色の多い山の中で、小さくても白く目立つキノコは発見が容易く、すぐに人数分の数を確保する事が出来た。

「これ、食べられるのかな?」

 手に持ったドクツルタケを見つめながら要が言うので、

「光さんが言ってましたけど、明らかに名前が毒だから止めておいた方が良いですよ?」

 葵が制止をする。しかし、

「そういう毒々しいものほど食べたら美味しいとかって無い?」

牡蠣かきとかですか?」

「いや、河豚ふぐとか?」

「それ、毒々しいって言うか本当に毒持ってるやつです。食べ方間違えたらアウトじゃないですか」

 葵は笑いながら言うが、要の言動が心配になったのか、彼の持っている真っ白なドクツルタケを奪い取ると前を行ってしまった光を追うように駆け足でその場を後にした。

17.11.15 誤字修正

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