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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
催し物と出雲阿国
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【一】

 清綱と綱親が激しく言い争う向こう側で、山城の城主である浅井長政から約束通り人数分の馬を貰った三人は有名武将達との別れを惜しみながらも、次の町へと向かったのであった。


 最初こそ初めての乗馬に不安になっていた三人であったが、そこはゲームならではの配慮なのか、意外にも簡単に乗る事が出来てしまった。

「何か乗馬の技能でも取ろうかな?」

 騎乗しながらも技能のウインドウを開いている要を見れば、どれくらい簡単に乗馬が出来てしまったのかは一目瞭然で、後に続く二人はその様子を心配そうにしているが、馬が優秀なのか、転げ落ちることも何かにぶつかる事も急に方向を変え自分勝手にどこかへ行ってしまう事も無かった。

 光は、要よりも馬の方が優秀だな、などと考えながら、

「俺らには長政さん達と違って技能の振り直しをする為のお金なんて無いからな?」

 忠告をする。それに返したのは技能ウインドウに夢中になっている要ではなく葵で、

「綱親さんは、色々な技能の組み合わせが試したくて、かなりの数の振り直しをしてるみたいですからね?」

 呟くように言うと、

「清綱さんに戦闘中毒者って言われてたくらいだもんな」

 綱親が刀を鞘に戻している時の姿を思い出しながら光は更に続け、

「一緒に迷宮潜って、どれくらい戦闘が上手なのか見てみたい気もする」

 言うと、

先頭を行く要から言葉が返って来た。

「俺、今度暇な時に一緒に迷宮行くよ!」

 その言葉が意外過ぎて、後ろにいた二人はほぼ同時に驚きの声を上げた。

「いつ何があってそんな話になったんだよ?」

「綱親さんが言ってた縮地を使った中距離斬撃戦闘って響きが素敵過ぎて、是非教えて欲しいって言ったらそういう事になったよ」

「抜け目が無いって言うか、単純に凄いわ」

 光が馬の揺れに合わせて拍手をしていると、

「でも、まさか最初に友達になる人達が号を持ってる有名な方々になるとは思いませんでしたね?」

 隣の葵が嬉しそうに言う。

 この広い世界の中で号を取得しているプレイヤーがどれくらいいるのかは分からないが、決して多いとは言えない人数なのは間違いなく、その中でもかなり有名であると言える武将が、始めたばかりの三人にとってのゲーム内の友達第一号になってくれたのだ。更に言えば二番目も三番目も号を取得したプレイヤーが並んでいる。

「しかも、困った事があったらいつでも連絡してくれなんて、私たち誰も『幸運』の技能取得してないのにラッキーでしたね!」

 葵のテンションはどんどん上がっている。まるで、本物の武将と友達になったかのような浮かれ具合だ。光も同じことを考えてはいたが、やはりゲームとしての質の違いが良い方に影響しているような気がしていた。キーボードを使って画面に文字を打ち込んで会話をするよりも、音声チャットで話をした方がプレイヤー同士の距離感も変わってくるだろうし、『G.O.U』においては、ほとんど実際に会って話しているのと大差が無い訳だから、より親しくなりやすいのだろうと。


 未だに技能ウインドウと睨めっこをする要と新しい友達が出来たことに浮かれる葵とゲーム性について考え込む光をそれぞれ乗せた三頭の馬達は休むこと無く次の町を目指して走っていた。


 次に馬が立ち止まると、目の前には「新町しんまち」と書かれた大きな看板が立て掛けられた町の入り口があった。今まで通って来たどんな町よりも大きく感じたが、清綱に聞いた話ではこのもう一つ向こうの町が大きな町になるらしく、製作が出来るようになるという組合もあるとの事だった。

 三人は馬を降り、自分たちの道具一覧へとしまうと、そこにいた三頭の馬達は光の粒となって姿を消した。


「おお、結構賑わってるじゃん!」

 町の奥へと進んで行く要が嬉しそうに声を上げた。それもそのはず、今まで通って来た道は街道とは呼ばれているものの沿道には田や畑が永遠と続くだけののどかな風景しか見えていなかった。しかし、新町に入ると沿道沿いは宿屋や商店などが建ち並び、店の前では縁日のように屋台が開かれていた。

 街道は一気に狭くなり、両脇の家や店の屋根から屋根には紐に吊るされた提灯ちょうちんが無数に連なっている。その光は、もうすぐ夕方になろうとしているこの世界を目一杯明るく照らしては、時折風に吹かれて小さく揺れていた。

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