【十七】
「で、なんでこういう組み合わせになる訳?」
兵藤と共に茜音とシロと向かい合うイツツバが不服そうに言う。どうして彼が不服そうなのか、理由を聞かなくても理解出来るし、兵藤とシロがどうしてこういう組み合わせにしたのかもきっと同じような理由だろう。だから、
「とりあえず、どんな小さなことでも良いから有益な情報を探してこよう。ここまではゲームとしてあまり親切ではない気がするけど、仮想空間を好きなように動き回れるゲームなんだからこれくらい不親切な方が面白いと思う」
イツツバの発言を無視してシロが頷きながら語る。
「おい、しれっと無視すんな!」
そんな声が聞こえて来るが、やはりというか当然というかシロと兵藤は一切聞こえていない風に装っている。その姿に若干ではあるが、心が痛くなってしまう茜音。
「まあ、シロが言ったように思うかどうかは人それぞれだろうけど」
何食わぬ顔をして兵藤がシロの言葉に冷たく返す。そして続け、
「だが、情報収集は必要だ。で、町もそこそこ広いようだし、この街道から区切って北と南で聞き込みするぞ。俺とイツツバは南側を担当するからお前たちは北側を頼んだぞ?」
ほぼ一人で決めてしまった彼は、
「おい、まだ俺の問題が解決してねぇぞ!」
と、声を上げるイツツバの手を強引に引っ張って歩いていく。
二人がどんどん小さくなっていく姿をその場でしばらく眺めていた茜音とシロ。遠くから、
「なんでアンタと一緒なんだよ!」
などという声が聞こえて来る気もするが、
「さて、そろそろ俺たちも聞き込みしに行こうか?」
シロが聞こえていない体で話し出す。だから、
「あの……」
と、言いにくそうに喋り出した茜音は、
「私なら大丈夫なんで、そろそろ普通に接してあげてください。なんか、いじめてるみたいであんまり……」
「そう?茜音さんがそう言うならこっちは全然問題無いんだけど」
その言葉にしっかりと頷きで返す。
「ん、分かった。また何か気になることされたら思いっきり蹴り飛ばして大丈夫だからね?」
笑顔を作ってそう言ってくれるが、それがどこまで本気か全く茜音には伝わって来なかった。返事に困り苦笑いを浮かべていると、
「じゃあ、イツツバくんの話はこれくらいで大丈夫かな?」
何の確認だろうか?と、不思議に思うが、
「パーティーの音声チャットをオンにしてると今のが向こうにも丸聞こえになっちゃうからね」
再び笑顔を作って、彼は自分のウインドウを開いて音声チャットを切り替えた。




