【十四】
大きな関所の門の前で意図せずとも四人が横一列に並ぶ。
「これはなんて読むの?」
門の中央に設置された看板には親切にもこの町の名前が書いているのだが、どうやらイツツバには読めないようで、
「ひさかかな?」
『日坂』と書かれたそれを見て適当に呟く。
「これは多分日坂だね?ゲーム始めた時に降り立ったのが金谷だから、多分間違いないと思うよ?」
シロの言葉に、
「どういうこと?」
と、訊ねる。
「このゲームは戦国時代をコンセプトにしてるって聞いてたんだけどね?」
明らかにイツツバの質問の答えではない言葉が返って来る。だから、次の言葉を大人しく待っていると、
「多分この道は江戸時代の東海道がモデルになってるんだと思う。東海道には金谷っていう宿場町があったし、確かその隣は日坂だったはずだから」
「なるほど」
と、訳も分からずに頷くイツツバ。
「お前、本当に分かってるのか?」
一番外側から兵藤にそう突っ込まれると、
「ここが日坂っていう町だって分かったんだからそれで良いんだよ!」
言い終わって舌を彼に向けると、すぐに茜音やシロの方を向いて、
「町の中に何があるのか一通り見て回った方が良いよね?」
嬉しそうに発案する。
ただ歩くだけだった旅が少しだけ華やかになり、イツツバもテンションが上がっているのだろう。自ら仕切りだして町の中へと足を踏み入れる。
そんな彼の背中を見つめる三人はお互いの顔を見合わせて、
「とりあえず、イツツバくんの言う通りにしてみようか?」
シロの提案に、
「良いのか?」
と、兵藤は不安そうだが、
「まあ、彼が仕切っていなくても、町の中は一通り見て回るつもりだったし。茜音さんもそれで良いかな?」
「私も色々見て回りたいと思ったから、大丈夫」
意外にもすんなりと会話のキャッチボールが成功したので、今度はシロと兵藤の二人がお互いの顔を見ながら驚いている。そんな彼らの事など気にする素振りも無く、数十分前までは警戒しまくっていたイツツバの後ろを付いて行く。
「きっと彼女もやっと冒険らしくなってきてテンションが上がっているんじゃないかな?」
嬉しそうに言うシロに、
「俺らもさっさと追い掛けないとはぐれるぞ?」
兵藤が前へと走りながら言い、
「それは困りますね」
シロも同じように後に続いた。




