【十二】
「なるほど」
と、納得した表情で頷くのはイツツバ。彼が本当にシロの言った事を理解しているのかどうかには疑問が残る。が、そんな事お構いなく、
「それで、このゲームでのお金の稼ぎ方はどっちなんスか?」
それを説いて来たシロに向かって訊ねた。
「さぁ?それは分からない」
全てを知っている上で話していると思っていたイツツバは、驚きのあまり数秒間動きを止めてしまう。
「え?」
どうにか我に返って何とか言葉を吐き出したが、そんな短く何の意味も持たない言葉しか口から出てこない。そして、更に言葉を受けたシロからも、
「ん?」
と、疑問の表情とそんな短い返事がやって来るだけであった。
「あれ?シロさんはどっちがこのゲームで使える方法なのか知ってるんじゃ?」
一度停止していた思考を元へと戻して、正直に聞く。
「いや、知らないよ?大体こういうゲームにはお金を稼ぐ方法としてこういうものがあるよと提案しただけだから」
この数分のやり取りは何だったのかと、二人を見ていた兵藤は頭を抱え、
「どちらにしても商店や宿屋があるような、ある程度の大きさの町まで行って情報収集をしないといけないんじゃないか?」
そう提案し、
「この街道を歩いてるだけでは、モンスターらしきものも出てこないだろうし」
そう言って辺りを見回す。
ゲームを始めた最初の村(?)からずっと続いているこの街道には彼らと同じように次の町を目指す冒険者がいるだけで、それ以外に見掛けるのは行商人のNPCくらい。どのような敵モブがこのゲームに存在しているのかは知らないが、このような長閑な雰囲気ではきっとモンスターの一匹も姿を現さないだろう。
「じゃあ、とりあえず予行演習ってことで、お弁当は無いけど、この景色を眺めながらのんびりと次の町を目指そう!」
兵藤の話を聞いたイツツバが茜音に向かって言う。
彼女の好感度を上げたいのだろうが、それに反対するのメンバーは誰もいない。次の町に到着するまでは何も出来ない事が分かり切っているのだろう。
「そうだな。とりあえず大きめの町に向かって情報収集。お金の作り方やクエストの有無くらいが調べられればベストだろう」
という兵藤の言葉を聞く前に、三人は次の町を目指して足を進めていた。




