【十一】
「お弁当かぁ!良いね!なんか、ピクニックみたいで楽しそう!」
イツツバは大きな声で賛成する。それが本心からなのか、茜音に賛同することで少しでも好感度を上げようとしているからなのかは分からない。が、後者であれば彼女の忠実なイエスマンになり、これから始まろうとしているパーティープレイでの何かしらのいざこざの火種になりかねない。しかし、そんなことは誰も気にしていないようで、
「まあ、景色を楽しむことは出来ると思うが」
兵藤がそう言って、
「食べ物はどうなってるんだ?自分たちで作ることは不可能でも消費アイテムとして売ってたりするんだろうか?」
と、続けた。
一番このゲームに関して乗り気では無さそうな彼であったが、茜音の言ったことを真剣に捉えて、それが実現可能であるかどうかをしっかりと考えてくれている。しかし、
「もしお弁当が自分たちの手で作れたとしても、料理が出来る場所を借りたり、食材を購入するのにもお金が必要になる。消費アイテムとしてお弁当が買えたとしても、やはりそれを購入するのにもお金が必要になる」
シロは冷静に言う。やはりその雰囲気にはどこか絶対的な信頼感と安心感があり、茜音とイツツバは集中して話を聞き、黙ったまま頷いている。
「ってことは、どうしたら良いと思う?はい、茜音ちゃん」
と、急に話を振られ、慌てながらも彼女は、
「えっと、お金を稼がないといけない」
「そうだね」
ゆっくりと頷いて肯定したシロは、自分の右手の人差し指を一本伸ばして、
「こういうタイプのゲームにはお金を稼ぐ方法がいくつかあるんだけど」
指を掲げている効果があったのか、二人に続いて兵藤までもがシロの話を大人しく聞き出した。
「まず一つ目はNPCと呼ばれる町の人々からクエストを受けてそれをクリアする事で報酬金を貰うという方法。もう一つは、敵モブを倒して素材などを獲得してそれをお店で売ってお金を得る方法」
ゲームをやっている人間からすればとても分かりやすい説明なのだが、
「えぬぴーしー?てきもぶ?」
あまりゲームに触れて来なかった人間からするとこういう事になってしまうようで、
「我々プレイヤーキャラクターには中に人がいるでしょ?」
噛み砕いて説明しようとシロが頑張っているが、それすらも理解出来ていないようで、
「中に人?」
どういう事だと言わんばかりにイツツバが首を傾げる。
「イツツバくんや茜ちゃんのようにゲームをプレイしている人が中にいるのがプレイヤーキャラクターね?そこまでは大丈夫?」
イツツバは黙って頷く。
「でも、村の住人やお店の主人にはゲームをプレイしている人が入ってる訳じゃないでしょ?」
またしても同じように首を縦に振る。
「そういう人たちの事をノンプレイヤーキャラクター、所謂NPCって言うんだよ」




