【八】
茜音と握手することが叶わなかったイツツバは相当悔しがっていたが、そんな様子に対して敢えて触れることの無い三人。
茜音は未だにイツツバのことをストーカーだと気味悪がっているところがあるので当然だが、
「さて、せっかく四人パーティーになった訳だし、軽く自己紹介とか、このゲームでやりたいことなんかを話し合ってみます?」
爽やかにそう言ったシロも、
「良い考えかもな。チュートリアルでゲームのプレイ方法やシステムについては軽く教わったが、どうすればゲームとしての話が進んでいくのかは分からないしな。そうなると、やはりパーティーとしての目的を作って冒険した方が面白いだろう?」
と、同意する兵藤も何故かイツツバに対する無視を続けている。
得てして、グループの中に存在する賑やかしのポジションというのはこういう風に弄られる運命ではある。
「それならさ」
それを知ってか知らずか相手にされないことを気にも止めないイツツバは、三人の輪に入り込み、
「パーティーリーダーの茜音から自己紹介とどうしてこのゲームを始めたのかと、ゲームの中で何がしたいのかを順番に発表していこうぜ!」
「え」
と、思わず声が出てしまった。
パーティーを組むことこそ提案したものの、四人が集まってから一番蚊帳の外におり、口数も一番少なかった彼女がどうしてリーダーと呼ばれなきゃならないのか全く理解出来なかった。しかし、これに関して言えば彼女以外の三人は賛成しているのか、イツツバに対してのツッコミなどは聞こえてこない。つまり、自分で否定しなければならないのだ。
「いや、私はリーダーってタイプじゃないので出来れば他の人にやって頂きたいんですけど?」
そう言って茜音はシロと兵藤の方を向く。
身体は正直だ。イツツバに遠慮して名指しではなく、「他の人に」と言ったのだが視線でどちらかお二人にという意志が伝わってしまった。
「とりあえず、リーダーなんて居なくても問題は無いんだから、空席にしておくとして先に自己紹介とかやろうか?」
シロに促され、小さく頷くと、
「茜音と言います。小さい頃からゲームが好きで雑誌に載っていた広告を見て興味を持ちました。自分で買うにはちょっと高かったんですけど、アルバイトでお金を貯めて購入しました」
そこで一息付いて、
「目的は特に何も考えてませんでしたけど、現実世界ではこういった歴史を感じる景色ってのは中々見ることが出来ないですから、そういった綺麗な景色を眺めながらのんびりと色々なところを見て回りたいなって思ってました」
シロ、兵藤の二人は黙ったまま頷いている。
「じゃあ、次は俺の番ね!」




