【七】
彼女自身、パーティーを組んだ仲間に歩みを合わせなければならないと、口ではパーティーを拒否していたが、本音は誰かと一緒に冒険をしたがっていた。それがストーカー気質のあるイツツバでは多少不安ではあるが、他のプレイヤーが間に入ってくれれば話は別だ。
彼ら二人は、揉めていた自分達を無視せずに関わってくれた。面倒ならば通り過ぎることだって出来たはずなのに。
「ちょっと待ってよ!一緒に冒険する仲間なら俺が居るじゃん!」
最初に言葉を返したのはイツツバで、彼はあまり納得していないようだった。
茜音は考え、当たり障りの無い理由で彼の意見を押し返そうとするが、
「まあ、冒険なんて人数多い方が効率は良いし、この先に待ってる戦闘だって圧倒的に簡単になるだろうしね?」
シロが笑顔でイツツバに言った。これには反論の余地も無いのか、イツツバは苦虫を噛み潰したような顔で頷き、
「まあ、そうだけど」
と、肯定の言葉を口にする。
「いや、違うな。俺とシロが居た方が安全だからだろう?」
とは、兵藤の言葉だ。
「今シロさんが言ったでしょ?数が多い方が戦闘は簡単になるって!同じ事をドヤ顔で言わなくて良いから!」
「何を勘違いしてんだ?お前と二人きりだと彼女の身が危険だって話だよ」
余計な事は言わないで!と、茜音は心の中で強く思った。
先程のシロの言葉でイツツバは納得していたし、雰囲気的にはそのまま四人で冒険に行ける流れだった。それをわざわざどうして?と、茜音は兵藤を睨む。
しかし、この発言はあくまで兵藤発信であり、茜音がそう思っているなんて一言も言っていない。それを気付かせる為なのか、ゆっくりと近付いて来たシロがポンポンと彼女の頭を二度ほど撫でると、
「兵藤さんみたいなパーティーをまとめる人がいて、イツツバくんみたいに明るく場を盛り上げられる人がいて、女性の茜音さんが紅一点でパーティーの華になる。バランスは良さそうだけどね?」
綺麗にまとめた筈だったが、
「お前はどこにいるんだよ!」
兵藤から厳しいツッコミが入った。
シロは自分の頭を掻きながら、そんな事少しも気に様子も無く、
「そんな事より、どうするんですか?彼女が一緒に冒険しませんか?って誘ってくれてますよ」
そう促され顎に手を持って行き考える兵藤の後ろから、
「俺は一緒に行く!ってか、もうパーティーみたいなもんだしね!」
元気よくイツツバが答える。
「……よ、よろしくおねがいします」
と、笑顔で頭を下げる茜音の行為を文字通り好意と受け取るこの男の事が当然心配になったのだろう。
「分かった。どうせ俺も一人でダラダラと過ごそうと思ってただけだ。ここで出会ったのも何かの縁だろう。よろしく頼む」
兵藤はそう言って茜音に右手を差し出した。彼女は躊躇しながらもその手をしっかりと握ると、
「ちょい、俺も俺も!」
と、イツツバが空いている左手に手を伸ばしてくる。
「俺もまだ返事をしてなかったけど、是非よろしく。プレイヤー名はシロって言います」
丁寧に自己紹介をして茜音の左手を掻っ攫っていった。




