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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
海北綱親と本当の始まり
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【五】

 イツツバの相手をバカにしたような言葉に男の表情は苛立ちを持ったものへゆっくりと変わっていく。

「お前たち二人が何か揉めているようだったから、少し話を聞いてやろうと足を止めたんだが、これはお前が一方的に悪いと決めつけて良いんだよな?」

 明らかに口調も強めになり、茜音は今すぐにこの場から離れたいという衝動にかられる。しかし、彼は二人の問題を解決しようと足を止めてくれたのだ。張本人である自分が逃げるわけにはいかない。


「はあ?何で俺が悪いってことになるんだよ?二人の冒険を他人が邪魔しないで貰えます?」

「え?」

 思いもよらぬ言葉に思わず声が漏れてしまった。

 当然、二人は揃ってこちらに視線を向ける。

「おい、二人で冒険してると思ってるのはお前だけなんじゃないか?」

 想像していたよりも闇が深い案件に男の熱くなった頭が少しだけ温度を下げた。

「仮にそうだとしてもこれは二人の問題なので、関係無い人が口を挟まないで欲しいんですけど?」

 男は人差し指を一本立てて、

「なら、一つだけ約束してくれ」

 そう言うと、その指で額に掛かっている髪をいじると、

「彼女が一緒に旅をしたくないと言ったら、大人しく引き下がってくれ。スタート地点であれだけ声を掛けてたという事は別に一緒に冒険をする相手が誰でも構わないんだろう?」

 最後の言葉にイツツバは反論する。

「あの時は誰か一緒に冒険してくれないかな?って感じで誘ってたけど、今は違う。今は、茜音じゃないと嫌だ」

 それを聞いて男は深い溜め息を吐き出すと、

「それだけ彼女の事を思っているなら、どうして彼女の考えを尊重してやらない?何か二人の間で納得出来ない事があったから、揉めているんじゃないのか?」

「いや、俺は知らんって!いきなり茜音が」

 決して大きな声や荒げた声を出している訳では無いが、揉めているというのが周りに伝わっていたのだろう。再び第三者が会話に割って入って来る。

 精悍せいかんな顔つきをしたその青年は、

「何か、揉め事ですか?」

 と、イツツバと男の間にやって来た。

 そして、その二人から少し距離を置いて立っている茜音に対しても軽く会釈をする。


 『G.O.U』サービス開始直後、始まりの町から次の町へと続く何でも無い街道で、一緒に冒険しているのかどうかといった、とんでもなくツマラナイ言い争いが発端で出会ったこの四人が、後の浅井長政と浅井三人衆である。

 今はまだそれぞれが普通のプレイヤーネームをぶら下げて何の技能も武器も持ち合わせていないが、運命の歯車だけがしっかりと噛み合い、回り出していた。

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