【二十】
縮地で敵の後衛であるヒーラーの前に移動しながら腰の日本刀を抜いた綱親は、その勢いのまま相手の首を狙って振り抜く。本来ならばその攻撃の壁役を前衛である骸骨男がやらなければならないのだが、縮地の速度には当然付いて来れない。一撃でヒーラーを落とした綱親は振り抜いた体勢のまま更に大きく刀を振る。縮地をする直前に把握した敵と敵との距離を思い出しながら、そこにいる筈の敵を攻撃した。
「うぐぅ」
という低い唸り声と共に片膝を突いて蹲る骸骨男。ダメージはそこそこ出ているものの一撃では倒せない。そこは流石に前衛を担当しているだけの事はある。しかし、吹き飛ばされたとはいえ正面には体勢を立て直した清貞。
「綱親さんは流石に強いね」
そんな状況を冷静に観察しながら長政が隣に立つ清綱へと呟く。
「何を今更。元々四人の中でも群を抜いて戦闘好きだった奴が、その後もただひたすらに戦闘を繰り返した結果だろう?」
「それに付き合ってあげられなかったことは反省してる」
頭を掻きながら申し訳なさそうな表情で言う。
「まあ、そこまで責任を感じなくても良いと思うけどな?元々アイツが言い出したんだぞ?ゲームなんだから自分が楽しい事をした方が良いって」
「そうなんだけど、彼女のああいう表情を見ちゃうとね?」
攻撃を受けた後方へと振り返るように動いた骸骨男の隙を突いて背後から斬り付けた清貞の攻撃によって敵グループとの戦闘は終了した。彼女の考えている通りの動きを清貞が出来ていたのだろう、刀を腰の鞘へと収める彼女の表情はとても明るく満面の笑みであった。
「今、あの表情が見えてんだから良いんだよ。もう二度と見られないなんて事にならないように頑張ればな」
「そだね」
ゆっくりと頷きながら長政は返事をした。
そこに戦闘を終えた二人がゆっくりと合流し、
「これってさ、良く考えたら俺要らないんじゃね?」
戦闘における経験値の差をまざまざと見せつけられた清貞が不安そうに言う。しかし、清綱は黙ったまま首を横に振る。
長政も綱親も不安になっている彼の為にフォローを入れるものだと思っていたのだが、
「良く考えなくても要らんぞ?」
思いきり突き飛ばした。
「清綱は良いよね?別に弱くたって専門的な技能に振ってるから他にやる事があって役立つんだから」
「お前らがヒーラーやりたくないって最初に言ったから、この立ち位置になってるだけだからな?」
その反論に、
「え?そうだっけ?」
喧嘩を売った清貞を始め、周りにいた長政と綱親も同じようなリアクションをしていた。




