【十八】
清綱の後を歩いていると
「あれ?そういえば清貞くんは復帰してから戦闘は?」
と、長政に話しかけられる。その言葉で、自分が復帰してから何をしたか考えてみるが、復帰直後に綱親に出会い、その後城の金を盗み、あとは町の探索や新しい武器や装備、アイテムなどを調べて、NPCに絡まれているところを助けられた。それくらいしか出て来ない。だから、
「全くやってない」
ここで嘘をつくのは簡単だが、どういう意図でそれを聞かれたのか分からないので正直に話す。
「じゃあ、勘を取り戻す為に最初の戦闘は清貞くん中心で行ってみようか?」
「え、俺?」
「半年空いた感覚は実戦でパッて取り戻した方が早いと思うんだよね」
そんな呑気な会話をしていると、前方を行く清綱から、
「それならちょうど良いのがいるぞ」
そう声を掛けられる。目を凝らして暗がりになっている洞くつの奥の方に視線を向けると、そこには敵であろうモンスターの姿が見えた。
長政に無理矢理押されるようにして先頭に立たされる清貞。そして、戦闘を前にして前かがみになりつつある綱親の袖を軽く摘んで引き止める清綱。それに気が付いた彼女と目と目が合って黙ったまま首を振る。
「長政が、あの敵は清貞のリハビリ用にするんだと……」
「え、ちょっと待って。マジで俺が行くの?」
一応、腰から刀は抜いているが随分と不安そうに後ろを振り返って訊ねて来る。
「イベントダンジョンの最初の敵だぞ?そんなに強い訳無いだろ?」
小馬鹿にしたように笑みを作って言う清綱。きっとここに来るまでの道中であんな顔をされていたらパンチの一発でも入れたくなっていただろうが、状況が状況だけに、その表情と言葉がこんなにも頼もしいと思えるなんて不思議だなと感じながらゆっくりと敵へと向かって行く。
ダンジョンにおいて敵が歩きまわり、それに触れると戦闘が始まるシステムをシンボルエンカウトと呼ぶ。この『G.O.U』もそれを採用しているダンジョンなどが複数存在しているのだが、そのシンボルに背後から近付き戦闘になると相手の不意を突き、先制攻撃が出来る確率がかなり上がるのだ。
それを覚えていた清貞は背後から敵に攻撃を仕掛け、先制を掴む。
「流石、俺!」
と、声を上げながら振り返るが、数メートル離れた所で三人が拍手をしていた。
「え、戦闘の感覚を取り戻すのは良いとして、俺一人で戦わないといけないの?」




