【十七】
向こうのパーティーとは対照的に浅井家の面々は一部を除いて落ち着いていた。
「よっしゃー!タイムアタックだー!」
ダンジョンに入り、いきなり大声を上げる清貞は、哀れむような目で見つめる他三人の視線を一度は確認したものの、そのまま無視をし、
「早くボス倒した方が勝ちなんだから、走った方が良いんじゃない?早く行こうぜー!」
と、無駄にテンションが高い。
「洞窟で反響するんだからちょっと静かにして」
と、綱親に冷静に言われて渋い顔をするも長政、清綱の態度は先程と全く変わらない。
「ここはランダム生成になるのか?」
清綱が綱親に訊ねる。
ダンジョン内は迷路のように入り組んでおり、道中には分かれ道や行き止まりがある。その全てを探索する事でボスまで確実に行くことが出来るのだが、今回のイベントダンジョンはランダム生成と言われるそのボスまでの道のりが毎回入る度に形を変えるといったものになっている。
毎回新鮮な気持ちで遊べるという利点はあるが、周回するということを考えると入る度に毎回道順が違うというのは数を回るほど面倒臭くなってくる。今回のタイムアタックにおいても決して良いとは言えない。
もし仮にこのダンジョンの道順が固定だった場合、このメンバーの中で唯一経験がある綱親が道順を全て覚えていれば、分かれ道や行き止まりに嵌ること無くボスまでの最短ルートを選択出来る。が、清綱が訊ねたようにこのダンジョンはランダム生成であり、綱親が首を縦に振って肯定し、
「だから、清綱の出番」
促されて、本人がウインドウを開く。
彼の持っている技能は、
「技能:地図生成」
簡単に言ってしまえば初めて訪れる町やダンジョンなどありとあらゆる場所の地図がその場で手に入ってしまう。これがあれば道に迷う事は無いが、戦闘には役に立つとは言えないし、地図など道具屋に行けば売っている。更に言ってしまえば、技能としてはやはり地味なので中々所持しているプレイヤーも少ない。しかし、ことランダム生成のダンジョンとなれば話は別である。
「とりあえず、最短ルートでボスに向かって良いのか?」
清綱は地図を片手に先頭に立って歩き始める。
「途中で宝箱とかあるなら寄って欲しい!」
清貞は先程自分の口でタイムアタックと言っていた事をもう既に忘れているのだろうか、綱親は溜め息を吐き出しながら彼の事を無視し清綱の後を追って行く。
「清貞くん。今回は一応タイムアタックって事になってるから、寄り道はほどほどにね?」
長政だけが唯一優しく言葉を返してくれる。




