【十六】
「せーのっ!」
長政と千歳、両パーティーリーダーのそんな掛け声でそれぞれのパーティーはダンジョンへと潜って行った。
この掛け声については、
「一、二、三で良いだろ?」
「いっせーのーで!でしょ?」
「いや、そこはカウントダウンで三、二、一、零でスタートするんじゃないの?」
と、様々な論争が起こったが、こんなにも無益な話し合いも無いと清綱によって前述の掛け声に落ち着いた。
同時に入ったのはタイムアタックのスタートを一緒にする為の作業なので中に入ってしまえはお互いのパーティーの姿など見えなくなってしまうが、千歳が率いるパーティーでは早速、
「向こうのパーティーは良いよなぁ!一人だったけど、女の子がいるんだからさ!それに引き替えこっちは男ばかりの虚しいパーティー」
タイムアタックという事で道中を走りながら移動しながらも前を行くパーティーメンバーに愚痴をこぼす椎名。彼の表情は虚しさと羨ましさを合わせたようなとても複雑な顔をしていた。
「グダグダ下らないことばかり言ってるとそんな羨ましい連中に負けるぞ?」
とは彼の前、先頭から三番目を行くろじぃであった。
「なんて言うか、千歳がノリノリだったからあんまり言わなかったけど、全員が漏れなく号を持ってるパーティーに勝てる訳が無いって言うか、奇跡的に勝ったとしても大して美味さが無いって言うか」
「お前的には何があればやる気が出るんだ?」
ろじぃからの質問に、
「うーん、パーティーに女の子が欲しいかな?」
「この勝負でその賞品は無理があるだろ?というか、この勝負じゃなくても無理だけどな?そもそも俺たちはもう四人で一つのパーティーになってる訳だからこれ以上人が増えてもあぶれるだけだ」
「そこはろじぃと入れ替えにすれば良いし、パーティーメンバーの交換をこのタイムアタックの賞品にすれば良かったな。こっちが勝ったらろじぃを向こうにあげて、あっちの女の子をうちのパーティーに入れよう!」
「海北綱親な?」
茜音の持っている号をしっかりと把握していたろじぃはそれを正確に伝える。しかし、
「はあ?」
走りながら喋っている為に息が上がったのか、それとも本当に意味が分かっていないから出たのか分からない椎名の返事に、
「彼女の号だよ」
「ああ、そんな名前だっけ?」
苦しさからか徐々に椎名の元気も口数も減っていく。
「トレードって事になるなら俺が海北綱親の号を貰えるって事だよな?」
その発言に、
「ろじぃが居なくなるのは別に構わんけど、号持ちになるのはちょっと腹立つな」




