【六】
これから四人でイベントダンジョンへと向かおうとする流れを断ち切って、
「その、購入出来る号についての情報は何か無いの?」
少しだけ関西弁のアクセントが付いた言葉で疑問を投げ掛けるミズホの顔は正面に座っているろじぃへと向いていた。
「あ、知ってる知ってる!」
しかし、言葉がやって来たのはろじぃからではなく椎名で、彼は嬉しそうに首を突っ込み、
「どこかの商店限定で売られてるって噂が立ってたやつだろ?」
意気揚々と答える。
「いや、さっき僕が軽く触れたんですけど?」
千歳が頭を抱えるような仕草をしながら呟くが、先程と同じくその言葉すらもスルーされてしまい、
「コホン」
と、もうすでにお馴染みになった感じもある咳払いで話が止められる。
ろじぃへの質問をしていたミズホとそれに割って入った椎名。そして、リーダーという立場に居ながら一番発言権が無い事に頭を悩ませる椎名。そんな三人の注目を集めると、
「ネット上の情報だと西の大陸での目撃数が段違いに多いって事だけは分かってるが、値段もピンからキリまで出回ってて正直な話、一体幾らなのかは分からん。号の中身も一体誰なのか分かっていないが、当然買った奴にしか分からんのだろうから、情報が出ていない以上まだ買った奴はいないって事だろうな」
「ドヤ顔で咳払いした割にはあまりちゃんとした情報は無かったな」
椎名に言われ、
「自分たちで解明する余地があった方が面白いだろうが?」
若干キレ気味で返す。
更に混沌を極めつつある話し合いに、溜め息をつきながら立ち上がった千歳は、わざとらしく両手を挙げ、やれやれという仕草をしながら、
「今回はほとんどがイベントの話になってしまいましたが、まあ、いいでしょう」
そう言って、
「皆さんが号を欲しがっているのは分かります。だからそれを加味した上で尋ねます。この後の予定をはどうしましょう?」
号を得る手段が明確になっていない以上、どうしても号が欲しい四人が確実に手にする方法は、それぞれが貯めたお金を出し合い売っているという号を買ってしまうという方法。しかし、この方法では確実に得ることが出来るのは一人だけになり、一体どんな武将の号なのかが分からない。そして、分け与えることが出来る号があるのかどうかも分からない。
そして、今回のイベントダンジョンのクリア速度や討伐数などで手に入るかもしれないと言われている武田信玄の号は本当に入手出来るかどうか分からない。しかし、信玄であれば分け与えることの出来る号の数は三どころではない筈である。それを証拠に、
「先程の話の続きになるが、武田信玄であれば分け与えることが出来る号は幾つもあると思うぞ?」
ろじぃが自分で言った事の補足説明をする。
「武田二十四将というのが有名ではあるが、あれは後の創作で、選ばれてる武将の年代がバラバラであったり、書物によっては載っている武将が違ったりしている。そういう事を運営が考えているのであれば、多分武田四天王の方が確実に選ばれているだろうな」
彼のドヤ顔は止まらない。
18.02.27 誤字修正




