【四】
「で、その裏ミッションとかいうのは見当が付いてるん?」
四人の中で一番やる気の無さそうに見えたミズホがやや前のめりになるように質問を飛ばして来る姿を見ると、号というものがどれだけ魅力的なものかという事が分かる。ゲームを遊ぶ上で必ず必要なものでは無いが、あればその分だけこのゲームを楽しめるという事は一年以上プレイして来て、周りからの話や自分の目や耳で見聞きして分かり切っていた。
「見当というか、公式が発表していない以上、推測でしかないので確定とは言い切れないが、本命は信玄の討伐数だな。まあ、その名の通り、数を一番倒した奴に号が贈られるパターンだ」
「他は?」
「次に有力なのが、時間だな」
「討伐のスピードって事か」
椎名の相槌にろじぃは首を縦に振る。しかし、そこまでの話でイマイチ腑に落ちていないのか、リーダーである千歳が、皆の注目が集まるように右手を挙げて、
「仮に二つ目に上がった時間だったとすると、四人パーティーが最速を叩き出すのは目に見えています。その場合は一体四人の内誰に号が贈られるんでしょう?」
その意見に椎名も同意し、
「確かに。そう考えると討伐数が一番可能性がありそうだな」
それ以降、四人はそれぞれで何かを考えているのか、中々言葉がその場にやって来なかった。
そんな中、最初に口を開いたのはこの場で誰よりも口数の多い椎名であった。彼は、自分のウインドウとにらめっこしながら、
「俺は大体三十周くらいしてるかな?まあ、半分以上はここのメンツとだから、お前らも最低でも二十位はしてるだろうけど。ってか、トップの奴はどれくら周ってるんだろうな?公式でランキング用意してくれたら目安が付けやすくて助かるのに」
報告と愚痴の混ざった言葉に、
「ゲームとはいえ、ダラダラとただ遊ばせるというのは嫌ってる節がありますからね?ここの運営は。向こう側の意図を読めということじゃないですか?」
何故か嬉しそうに微笑みを投げ掛けながら千歳が言った。
「あ、ちなみに僕は四十二周でした」
「俺は二十二周だな」
そう呟いたろじぃに嬉々として、
「ゲーム以外のところで情報ばっかり集めてるから数が少ないんじゃない?」
椎名が言う。きっと先程の仕返しという部分もあるのだろうが、ろじぃは、
「俺は、あまり野良パーティーというのが得意ではないだけだ」
と、真剣な表情で返答する。
「いや、今そのカミングアウトいらんって!ってか、別に野良だって普通よ?喋ってコミュニケーションはとれるし、まあ、連携とかは上手くいかん時もあるけど、だからこそ逆に上手くいった時は知り合いと行ってる時とは違った面白さが……」
熱く語っている途中で、
「ミズホはどうだ?」
と、ろじぃに中断させられる。




