【八】
「まあ、結論から言うと、妹は私の誕生日プレゼントを買う為にアルバイトをしてたって話」
前半のクオリティは嘘のように後半部分をあまりにあっさりと、そしてサラッと話してしまうものだから、
「おい、後半随分とあっさり終わらせたけど、現実の話に抵抗でもあったのか?」
江雪斎にそう指摘されてしまい、
「そんな事は無いけど」
と、側頭部を指で掻く氏政は少しだけ照れているように見えた。
「しかし、ゲームも歴史も興味が無いって言ってる奴にいきなりコレをプレゼントするってお前さんの妹も中々攻めてくるな」
何故か嬉しそうに言う江雪斎。
「ああ、そこも話すと長くなるかもしれないんだけど、実は妹もこういうのにはあんまり詳しく無くて、一緒に買いに行った母親も疎いんだよ。学校の友達との会話で、こういう仮想世界に入れるものがあるって話を聞いたらしくてね?」
そこまで言って氏政は思い出したように鼻で笑う。当然、
「なんだ?」
と、興味をそそられ氏政の次の言葉を待つ。
「どうやら最初は女の子が遊ぶようなヤツを買うはずだったらしいんだ?可愛い洋服やアクセサリーを身に付けたり化粧を楽しんだりするような?」
それだけを聞いて、江雪斎は頭の中に何本かゲームソフトが浮かんでいるのだろうか、天井の方を見るようにしながら、
「ああ、月額制で自由に服の試着が出来たりして、そのまま現実の買い物が出来るようなヤツだろ?」
自分より詳しいおじさんに氏政は少しだけビックリするが、
「別にやりたいとかそういう事で詳しい訳じゃないぞ?一つのゲームソフトとして詳しいだけだからな?」
と、訂正が入った事で納得し、自分の話を続ける。
「それを私に買え与えて少しでもそういうモノに興味を持たせたかったみたいなんだけど、どうやら本体だけでそれが出来るもんだと思い込んでたみたいで、当日、誕生日プレゼントだよって本体を渡されたんだけど」
彼女はまた思い出したように鼻で笑う。そして、
「その時のあの子のドヤ顔が凄くて今思い出しても笑っちゃって」
その後、一人でしばらくクスクスと笑い声を漏らしていたが、深呼吸を繰り返し落ち着いて、
「だから、ソフトは後で自分で買いに行ったの。せっかくのプレゼント、使わないのは勿体ないからね」
妹の話をしているときは、普通の女の子だなと感心する江雪斎は何の相槌も挟まずにただ無言で頷いているのみだった。




