【十四】
山から切り出した丸太を使って作られたその橋は、到底大勢で渡れるような代物ではなく、向こう側からやって来る人間とこちら側から歩いている人間が途中でギリギリすれ違えるくらいのささやかなものであった。そんな橋の様子を気にも留めていない要は、薬の調合素材探しで気合いが入っており、橋を渡りながらも何か無いかと辺りを気にしている。
木製の橋に生えているものなど、せいぜいキノコくらいだろうが、そんなところに生えているキノコに薬の効果があるとはいまいち思えない。しかし、今の彼であれば一切の躊躇いも無く、薬の調合用の素材として採取してしまうだろう。
「うーん、薬の材料ってのはどういう風に見つければ良いんだ?」
橋を渡っている最中に見えた向こうの岸には名前も分からない草がいくつも生えている。しかし、花でさえもタンポポとヒマワリ、チューリップといった超有名どころしか名前を知らない要が、その辺に生えている野草の違いに気が付く訳が無かった。
「とりあえず、それっぽいのを片っ端から取って行くしかないかな?」
橋を渡り終え雑草と向き合う要はそれを凝視しながらそんな事を呟いた。そして、腰を掴んでいた両手を胸の前で組み直し、更に黙ったまま考える。
そして、見つけ出したのは目の前に広がる雑草の山ではなく、
「そういえば道具の中に薬草が入ってるんじゃなかったっけ?」
そう自問し、
「何だったかな?いつかのクエストの報酬にくっついて来たような……」
自答して道具一覧を開く。
彼の記憶通りそこにはいつ手に入れてたのかも分からない薬草が二十個近くストックされていた。やs区層が入っている事は覚えていたが、そんなに大量にあるとは思っていなかった要は、見た瞬間に思わず声を上げてしまう。
「いつの間に、こんなに大量に?」
きっと薬草がクリア報酬になっているクエストがいくつもあり、それを気付かぬ内にクリアしていたのだろう。武器や防具、技能ポイントといった見るからにレア度が高そうな報酬以外の存在なんてのは、えてしてそういうものである。
要は道具から一つ薬草を取り出すと、
「これ見ながら探せば楽で良いじゃん!」
再びやる気になった要は目の前の草たちと薬草とをしっかりと見比べる。
「違うな!」
そう判断すると、まだ見ぬ町へと続いている山道をゆっくりと歩き始めた。
この先、緑が生い茂る中、同じような緑色をした葉っぱの違いに悶絶しながら薬草片手に薬草を探すのである。自分で栽培が出来るという事も知らずに……。




