表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
駿府の城と家中集会
194/296

【一】

 光と葵が隣町を目指して移動している頃、南の大陸にきょを構えるとある城の中の一室では一人の少女と一人の女性がゴールデンウイークのちょうどど真ん中に当たる休日の午前中を過ごしていた。

 少女は部屋の中央で両手両足を思いきり伸ばして横になり、我が物顔で大の字になっていた。そして、やることも無いのか、天井の木目を上から下へと目で追いながら欠伸あくびを一つ二つ吐き出していた。そんな彼女のそばには正座を崩したような体勢で座布団の上に腰を下ろす眼鏡を掛けた女性が、ウインドウを開いて何やら作業に集中している。


「今日、休みなのに人が少ない」

 いよいよ木目をただ見つめる事にも飽きたのか少女がそんな文句を零した。それは明らかに構って欲しいという態度の表れであるのだが、眼鏡の女性は一切気にする様子が無く、我関せずといった感じでウインドウの操作を止める気配は無い。それをわざとやっているのか、それとも集中しているが故に気付いていないのか、はたまた独り言としてスルーされてしまっているのか、人によっては聞きにくい事に当たるのかもしれないが、この少女は違った。

「やーすーまーさー!」

 甘えるような声で彼女の号を呼ぶと、榊原康政さかきばらやすまさの号を付けた眼鏡の女性はウインドウをいじっていた手を止め、ほんの一瞬だけ視線を少女の方へと移して目を合わせたが、すぐにウインドウへと戻して、

「休日と言っても皆がインするのは夜がメインだしね?休みだからこそゲーム以外の事をやりたいって人も少なく無いんじゃないの?」

 落ち着いた声で冷静に返した。


「そういう康政は朝からインしてずっと何をやってるのさ?」

 康政自身の言葉に反している今現在の状態をどう思っているのか、同じ空間にいるにも関わらず自分には一切干渉しようとしない彼女が一体何を真剣になっているのか、それが気になって聞いてみた。

「うちの倉庫の中に、迷宮で拾ってきた山のような素材があるでしょ?その相場が今、どれくらいなのかチェックして、売ったり買ったりしてるの」

 言葉の半分はしっかりと理解出来たが、もう半分の言ってる意味が分からない少女は、

「売ったりは分かるけど、買ってるの?」

「これから何かあって値段が上がるかもしれない素材は安い内に大量に買っておいて、今より値上がりすれば上がった分が儲けになるでしょ?」

 康政は指を動かしながら先程と同じ冷静な言葉で返す。

 分かったような分からないような、そんなふわふわとした理解度ではあったが、

「まあ、うちのお財布は康政に任せてあるし、損して無ければなんでもいーやー!」

 少女を寝転んだまま少しだけ声のボリュームを上げて言った。話が終わった訳では無いのだが、既に作業に戻っている康政を見て、

「暇だなー!」

 と、口を開く少女。


「家康はゴールデンウイークの予定とか無いの?」

 可哀想に思ったのか、作業を続けながらではあるが話を振ってくれた康政に、

「そんなの無いけど?」

 少しだけ不機嫌っぽく呟いた家康だったが、

「そっか」

 と、何かを納得したように頷くと、

「予定作っちゃえば良いんだ!」

 そんな喜びの声を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ