【四】
松永からの追求から逃れる為にその場しのぎで言ってみた案だったが、目当ての人物、今川義元を探す作戦としては意外と良い案だったのかもしれない。
「地道だとは思うが、作戦としては悪くないかもしれんな」
上機嫌で久秀は言う。しかし、
「どうせやるなら全ての大陸を繋ぐ交通手段を抑える方が効率が良いんじゃないか?」
「確かにそうですけど、それだと中々大変では?」
「大変?そんなものお前が良くしてる第六天魔王のメンバーに命令すれば済む事だろう?」
言われて、すぐに宗久は反論する。
「確かに私がある程度の金や武器、道具などは提供していますが、全てが私の言う通りに動くというものでも無いんです」
久秀は、どういう事だ?と、言いたそうな顔でこちらを見つめる。だから宗久はすぐに口を開き、
「私が全てを仕切っている訳では無いんですよ。今回の橋の交通料を徴収しているのもお金が欲しいと言っていたメンバーを集めて使っているだけですし」
「なるほどな」
と、呟いた久秀だったが、全く納得も理解もしていないのか、
「そうだとすると困った事になるな」
勿体つけるように言うので、宗久はついつい尋ねてしまった。
「何が困るんです?」
と。
「大陸同士を繋ぐ場所で監視をして獲物が掛かるのを待つという案は良かったんだが、相手がそこを通ら無ければ何の意味も無いからなあ。今や、技能さえ所持していれば一瞬にして好きな場所へ行けちまうんだ?もしかすると、これから二度と自分の足で大陸を渡るって事が無いとも言い切れないんだよ。だから、他の方法も試しておかねえと……」
「言われてみればそうですね」
そこで会話が止まり一瞬の沈黙が室内に広がる。
「あの、松永様少し良いですか?」
軽く手を上げるようにして発言を求める宗久は、久秀が自分に視線を向けてくれた事で発言の許しを得たと考え、
「先程、豊臣秀吉や海北綱親の事を調べていましたけど、それは今回のコレに使う事は出来ないんですか?」
久秀は少し驚いたような表情をして、すぐに真顔へと戻すと、
「今川義元の情報はほとんど出てないんだ」
「それってまだ存在していないという事では無いんですか?」
「もし仮にそうだとすると、今川義元の号を得るところから始めんといかんな」
それはそれで面倒だという思いが心から溢れ表情に出てしまった。自分では無意識だったのだが、久秀が自分の顔を見て笑っているのを見て気が付いた。
「すいません」
慌てて頭を下げるが、
「安心しろ。今川義元の号を取得しているプレイヤーがいるという情報は既に出ている。だが、それ以外の情報がほとんど外に露出していないんだ」
宗久は頭を上げ、何事も無かったかのように、
「もしかして、もう既にゲームをやっていないという可能性も?」
久秀は少しだけ考える素振りをして、間を置くと、
「……そうかもしれんな」
と、小さく呟いた。




