表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
天邪鬼と金塊
173/296

【十七】

 何かを相談するように話す二人を真っ直ぐな瞳で真剣に見つめる五右衛門の頭の中では、今この場を乗り切る為に何が出来るのかを考える為に脳がフル回転されていた。正直に言ってそのままここから解放されるのが一番簡単ではあると思うのだが、彼女を前にその選択肢を選ぶという事は絶対にあり得ない。

 どうにか誤魔化し、お茶を濁して退散出来れば良いのだが、中々良い方法が見つから無いし、目の前の二人が真剣な表情で話し合っている姿を見ると、適当な言葉では簡単には放してくれそうも無い。


 建物からの脱出が簡単に出来る技能を持っていれば話は簡単に進むのに……。そう考えていた五右衛門の頭に一つの考えが浮かぶ。

「阿国さんは、ここから外に出られれば良いんだよな?」

 話を割って入る形になったが改めて確認を取る五右衛門。

「そうです。ただし、ファンには出来る限り見つからない方が良いですね」

 付き人が冷静に返すと、

「つまり何事も無くこの場所から出られればそれで良いって事だな?」

「何か妙案が?」

 朗らかで優しそうな表情を常にしていた彼の目つきが少々鋭くなり聞き返した。

「妙案って言えるかどうか分からんが、何か良い方法が無いか少し考えてみた」

 二人からの返事は泣く、それはきっと早くそれを発表してみろという事なのだろう。だから、五右衛門は一度だけ咳払いをして喉を整えると、

「一番簡単なのはゲームからログアウトしちまうことだと思うんだが?」

 付き人の視線は先程と変わらないが、今度は阿国まで睨むようにして五右衛門を見つめ返して来た。それの意味が分からずに狼狽うろたえていると、

「阿国さんはこの後に用事があるのでその方法は無理なんです」

 言われる。

「じゃあ、俺が外に出て、今そこら辺でたむろしてる連中を追い払うってのはどうだ?」

「それでも構いませんが、こちら側の不利益になるような事が無いように出来ますか?」

 外のファンを追い払う為の何か具体的な方法があった訳では無いが、そう強く言われてしまうと自信が無くなり言葉に詰まる。


「何か色々と考えて貰っているようですけど、外が暗くなれば五右衛門さんの技能で外には出られるのでしょう?」

 阿国に言われ、五右衛門は黙ったまま首を縦に振ってしまう。

「しかし」

 このままではマズイと思った彼は、すぐに口を開き、

「こちら側に何の不利益も無く、ここから出られるのならば早い方が良いのでしょう?」

 付き人はただ黙ったまま首を縦に振っている。そして、阿国も、

「まあ、それはそうですが」

 と、納得したように頷いていた。


「分かりました。何か良い方法が無いか少し外の様子を見て来ます」

 五右衛門はそう言うと、すぐに立ち上がり部屋から出て、先程やって来た廊下を戻って行く。

 一歩二歩と足を進め、焦る気持ちを抑えながらいつもより気持ちゆっくりと進む。そして、二人が残っているであろう部屋からある程度離れたところですぐにウインドウを開き、

「何か、この状況で役に立つ技能」

 動きとは裏腹に焦ったような口調で呟き、技能一覧を睨みつける。スクロールする画面から一つでも見逃さないようにと、ウインドウ全てに目を光らせる。しかし、盗賊の技能には、錠を開ける為のモノや移動する際に出る物音を軽減する技能など、お目当てのモノは無く。調べる技能の範囲をもっと広くして探してみるが、迷宮から脱出するという近いと言えば近いが、今、この状況では何の役にも立たない技能しか見つからなかった。


 五右衛門は足を更に表の方まで進め、付き人と出会った辺りまで進むと、やや薄暗くなった外へと目をやり、未だに楽しそうに何か会話をしている阿国のファンらしき集団を一瞥いちべつする。

「どうして、あそこの連中は帰ろうとしないのかね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ