【四】
場所は変わって新町の端。
茜音の技能を使って門の前へと一瞬で戻って来た四人。
本来ならば今回のようなイベントはクリアをしても再び挑む事が可能なので一日で何周も周回をするプレイヤーが数多くいるのだろうが、道中の戦闘やボス戦に至るまで中々すんなりとは終わらなかった事を考えて一度町へと引き返すことになった為に、今、四人はここまで舞い戻って来たのだ。
「この技能便利だね?」
と、技能を使ってくれた茜音に葵が呟く。
「多分、もう少しお話が進めば取れると思う。そんなに難しいクエストでも無かったし」
「そうなんだ」
と、女子二人は世間話というか雑談に花を咲かせていたが、その一方では、
「まあ、そんなに気を落とすなって」
光が要に声を掛けていた。
元々、このイベントに参加したいと言い出したのは要であって、その理由も大金を手に入れて武器や防具を新調したいからだった筈だが、その結果がアレでは、光も流石にこう声を掛ける他無かった。
ショックで放心状態なのか返事が無いのを心配した女性陣からも同じように声が掛けられ、
「そ、そうですよ。レベルが上がって技能ポイントも貰えた訳ですから、それを使って技能を強化したり、さっきの戦いで分かった自分の弱点なんかを強化すれば、次はもっと簡単により早く攻略が出来るんですから。何回だって採掘するチャンスはありますよ!」
まずは葵が光に乗っかって必死にフォローを入れる。
「きっとこの金塊は換金アイテムだから、四人の金塊を全て売却して返って来たお金を四等分してきっかり分ければ公平。今回の戦闘は四人で力を合わせたからこそ勝てたんだし」
茜音も気を遣って等分にしようと提案してくれる。
しかし、彼から返って来たのは意外な言葉だった。
「これってさ、お金に出来るんならさ、どうにかして今井宗久のクエスト攻略に使えないかな?」
あまりの事に三人は目を丸くして驚いている。
「例えば、賄賂的な感じで渡して仲良くなって情報を聞き出したり、大量のお酒を買い込んで宴会を開いて酔い潰して色々吐かせたり」
「なんか、二つ目は別のモノが出てきそうだけどな」
驚いてばかりもいられない光が上手い事を言うが、すぐに冷静になって、
「賄賂は却下だな。絶対怪しまれるだろうし、お酒もダメだな。宴会に呼べる程仲も良くない」
完全に否定されてしまった自分の意見に舌打ちをして、
「なんだぁ、中々良い作戦だと思ったんだけどな」
悔しそうにしている。
光は、やっぱりそんな彼が不思議で、
「でも、なんで急にそんな事?お前、お金貯めて武器とか防具とか欲しいって言ってたのに」
光は更に続けて、
「確かに少なかったかもしれないけど、お前が掘った小さな金塊だってそれに使われるんだぞ?」
「あんま小さい小さいバカにするなよ」
要は苦笑いでそう返した後、
「まあ、せっかく茜音がいる内に進めたクエストだったからさ、茜音がいる間にクリアしておきたいかな?って思っただけだよ」
照れたように頬を掻きながらそう言った。
「なるほどね」
要と茜音の顔を交互に覗き込んだ光は、嬉しそうに頷いて、
「だったら、俺らが掘った金塊を元手に商人として今井宗久に接近してみるか?」
要よりも斜め上を行く提案だった。




