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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
恒例行事と公式行事
154/296

【十八】

 光が攻撃を受け、倒れていくのが見えても攻撃を諦めていなかった茜音の動きが、姿を消した信玄によって止まってしまった。彼女の発動させた『秒読』は『一』の文字を燃やしたまま右肩の上で揺らいでいる。当然、未だにその効力は消えておらず、彼女の構えから繰り出されようとしていた『突一閃とついっせん』は普段よりもかなりの高火力になっているはずである。しかし、攻撃をしようとしていた相手の姿が消えた事に動揺して身体が動かせない。

「茜音っ!アイツが消えた場所目掛けて打ち込めっ!」

 それを見透かしたように要が叫ぶが、

「ダメ!もし、あそこにアイツが居なかったら二人に当たっちゃう」

 当然、信玄が消える前に立っていた場所の向こうには光が倒れており、更にその向こうには弓を構えたままの葵の姿も見える。そう茜音の所から全てが一直線に繋がっているのである。そこに何かに攻撃が当たるまで直進するこの技を打ち込もうものなら手前で倒れている光に追い打ちを掛けるようにダメージを与えながら、ショックで棒立ちになっている彼女に突き刺さってしまう。

「よし、俺が何とかするからそのまま待ってろ!」

 要は声を上げ、

『技能:縮地』

 小さく呟くと、一気に葵のところまで移動し、彼女の肩を掴んで叫ぶ。

「葵がしっかりしないと誰が回復するのさっ!」

 葵はそれに黙ったまま頷いて答える。


 構えたままの茜音からはまた違った光景が見えていた。

 信玄からの攻撃を受けた光がゆっくりとだが、自分の刀を杖代わりにして立ちあがっているのである。

「あれくらいの攻撃じゃ死なないよ?」

 息を切らしながらやっとといった感じで声を上げた彼の体力は残り四分の一程しかなく、ゲームを始めて一番瀕死に近い状態ではあるが、やられてはいなかった。彼はそのままの態勢で刀を構え、ヨタヨタと今にも倒れそうな足取りで二歩、三歩と前に進み、右手に握った刀に全ての体重を掛けるようにして前のめりに倒れた。

 その攻撃は、どんな技能でも無く、本当にただの通常攻撃ではあったのだが、消えていた信玄に届いていたのであろう。彼はそれを避ける為に後ろへと一歩下がった。その瞬間、彼の『林』の力は解け、姿を現した。

 光は倒れながら、

「茜音のあの攻撃は『山』を使わないと防げないんじゃない?でも、お前は『火』しか使えないんだろ?」

 そして、顔から地面にぶつかり、

「ざまあみろ」

 格好悪く倒れた瞬間、信玄の背後に茜音の『突一閃』がぶつかる大きな衝撃音と野太い叫び声が響き渡った。大量の土煙が辺りに漂う中、倒れた光に葵の『治癒矢』が突き刺さる。

 光は、自分の顔をさすりながら起き上がり、それを要が迎えに行くが、

侵掠しんりゃくすること火のごとく」

 その声が土煙の向こうから聞こえると、要は目標を声の方向へと変え茜音目指して走り出すが、すぐに刀と刀のぶつかり合う金属音が聞こえて来る。そして、その途中、

『技能:ゆ』

 という茜音の声が聞こえ、甲高い金属音は一切しなくなった。


 状況は一切把握出来ていないが、要が茜音と信玄の元へとやって来ると向かい合って動かない二人がいた。彼女にはダメージを受けた様子は無いが、相対している信玄の手には刀が握られておらず、それは二人の間、地面に投げ捨てられたように落ちていた。

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