【十八】
「短い時間だったけど、それぞれがどういう事を感じたのかを言ってみよう」
三色団子の串を力強く握りながら声を上げたのは要で、彼は一番上に刺さっている桃色の団子を口に入れると、咀嚼と同時に自分の意見を語り出した。
「言い出しっぺだから俺から言うけど、怪しい感じはしてるかな?って思った。大体はお姫様の言ってた事通りだとは思ったけど、橋の件がより怪しさを醸し出してた気がする」
「話の腰を折るようで申し訳ないんですけど、そのお姫様はどのように言ってたんですか?」
茜音がそう割って入って来た。光は話ていなかった部分を簡単ではあるが要点をまとめて説明を入れる。
石川五右衛門が探していた簪の事から始まりそれが宗久を通じて高崎の城へと運ばれお姫様の手に渡った事。そして、お姫様から殿様が様子がおかしくなってしまった事について聞かされ、それが宗久と関係が始まってからだという事を。
茜音は頷きながら、
「なるほど」
と、言葉を漏らし、
「彼の言っていたお城への手回しというのが、その簪などの献上品で、その取引などを殿様とやっている中で何かおかしくなるような事をした可能性があると?」
まだまだ光や葵とは砕けた言葉で話せないのが災いして堅い言葉になってしまっているが、その意見には三人ともがそれぞれ納得をしていた。更にそれに付け加えるようにして彼女の隣に腰を下ろしていた葵が、
「仮に宗久さんが諸悪の根源というか、一番悪い人という体で考えると、私腹を肥やす為に橋の料金徴収をしたかった宗久さんが自分達の力だけじゃどうにも納得出来る理由が作れないから、殿様を操って自分達にその権利が得られるようにしたって事も考えられますよね?」
「まあ、あの話を聞くとその可能性が高い感じがするよね」
彼女の正面に位置している光も肯定する。しかし、それを証明できる証拠が無い。
「でもさ、プレイヤーがNPCを操る事って出来るのかな?」
要は正面に座る茜音に向かって言った。この四人の中で一番このゲーム歴が長くよりこの世界の事に詳しいだろうという判断なのだろうが、彼女は首を捻って、
「どうだろう?もしかしたらあるかもしれないけど」
眉をしかめて困った表情を作った。
「お三人さんはそのお殿様にお会いしていないんですか?」
「様子がおかしいっていう話はお姫様に聞いていたんですけど、私たちもあんまりお城に長居出来る状況じゃ無かったのですぐに出来ちゃったんですよね」
女子二人の会話を聞いていた光が不思議そうに茜音に、
「どうして?」
と、尋ねた。
「いえ、NPCとはいえ人ですから様子がおかしくなる原因なんてのは限られてますよね?昔から人を狂わすモノと言えばお酒にお金、ギャンブル、女!」
『おんな!?』
要と葵が茜音の顔を見つめながら驚いた声を上げる。彼女には似つかわしく無い発言だったのだろう。
「いや、でも傾国の美女とかそういう話は昔からあるからね?国を傾かせる程の美女っていうのが」
光が冷静に言うが、
「でも、女性が原因だとしたらお城の人が気付くんじゃないですか?普通」
葵にそう返され、
「確かに」
と、納得してしまった。
「お酒もお金もギャンブルも同じように周りの人が気付きそうですしね?」
提案した茜音自らがそう否定する。
「それ以外で考えると」
葵が彼女の言葉に乗っかり、
「毒や呪いなら気付かれないですね?」
この食事処に入って一番の小声で囁くように言った。
17.09.25 誤字修正




