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仮面と少女

この異世界レメガルドの大陸の一つ、トゥルジア大陸では三つの大国が世界の覇権を巡って対立している。


その三大国の一つ、レフェリア王国。

かれこれ二千年以上も大国として存在する由緒ある歴史を持つ国として世界に名を轟かせている。


君主制を布き、貴族制度が撤廃されているためか、魔物狩り‥‥いわゆる冒険者達が活動しやすい国としても有名だ。


そして、任務を行う地である王都ライテル。

レフェリア王国の中心都市であり、レフェリア王国軍の警備もあってか魔物の被害も少ない治安の良い都市である。


と、ここまでがカムイの知っている王国の情報だ。


「さて、ここからどうしようか」


さすがに王都内に仮面姿で現れるわけにもいかず、現在、カムイのいる場所は王都から少し離れた街道の外れだった。


基本的に各地での任務によって顔バレをしている他メンバーと違い、普段から仮面姿でいるカムイはこういった事前調査が必要な任務に駆り出されることが多い。

そして、今回の王都はカムイにとって初めて来る場所であり、任務内容の魔剣の持ち主を探すとなると少しばかり長期間の任務になるだろう。


「まぁ、とりあえず王都に行って情報収集だな」


誰になく呟きながらカムイは仮面を外し手元に現れた空間に入れる。


『次元の指輪』

かの『主』から実働メンバー全員に渡された魔導具の一つであり空間に物の収納、また蓮天城に帰るための機能も備え持つ指輪だ。


指輪の能力で仮面をしまうと、自らの青みがかった髪を完璧な黒へと変えておく。

これは指輪の能力ではなく、右手首に着けた腕輪の力だ。

名は「偽りの腕輪」。

こちらは『主』から渡された物ではなく、偽装、幻術を得意した仲間から渡された物だった。


「よし、これで準備完了だ」


カムイは自分の姿を再度確認すると茶色の外套を身に付け王都へ街道に沿って向かった。





‥‥までは良かったのだが。


「た、助けて下さ〜い」


「‥‥‥はぁ」


元の位置から王都へ向け五分くらい歩いた時だろうか。

下手したら五分もあるかないうちに厄介ごとに巻き込まれてしまった。

見た所、一人の少女が走って逃げていた。

何から?魔物から。

それもカムイがいる場所へ向かって。


「お、お願いします〜助けて下さい〜」


「‥‥悪いけど断っておくよ」


茶髪の髪をサイドテールにした自分よりも明らかに歳が下の少女。

カムイ視点で見ても随分と可憐な少女である。

助けたいのはやまやまだが、こちらにも遊びできているわけではない。

一刻も早く、王都に着いて情報を集めねばならない。

追ってきている魔物もそう強くはない部類だ。


ここは非情だが、見捨てるのが吉。


「それじゃ、頑張って」


それだけいうとカムイは少女に背を向けて再び歩きだす。


ーー相当、鈍くなければ殺されることはないよな。多分、大丈夫。


だがしかし、なんと奇遇なことか。


「あぅっ」


地面に落ちている小石に躓いて転ぶくらいには少女はとてつもなく鈍臭かった。


「キシャア」


すかさず少女を囲む魔物。


「ひっ」


怯えてその場で尻込みしてしまう少女。


「‥‥‥‥はぁ」


遠目からその光景を見ていたカムイは再度溜息をつく。


ーーー仕方ない。


そう心の中で呟くと、自らの腰に下げた剣の柄に触れた。







疾走。


カムイは自らの愛剣を鞘から抜き放ち、常人を遥かに超えた速度で少女の前に立つ。

目の前にいるのは蜂型の魔物が三匹。


ーーこの程度なら、あれを使う必要はない。


敵の強さを一目で判断し、耳触りな羽音を立てる羽を剣で切り裂いた。


「キシャッ⁉︎」


蜂型の魔物はいつ羽が斬られたかも分からずに地面に落下し、それと同時に三匹全ての蜂の頭が全て転がり落ち、絶命したのを証明するように魔物達の死骸が宝石のようなものへと変わる。


ほんの一瞬の出来事だった。







愛剣を一振りして付着した魔物の血を払うと鞘へと戻す。


「え‥‥さっきまであんな遠くに‥‥え、あれ?」


今だに状況の整理がつかないのか、少女は困惑した表情だ。


「まぁ、これで大丈夫だと思うんだけど‥‥」


「‥‥‥あっ、はいっ!ありがとうございました!」


カムイが口を開くと少女は我に返ったように返事をする。


「傷もないみたいだし、俺は行くよ」


魔物の死骸から生まれた宝石のような物を拾いあげ少女へと手渡し踵を返して歩き始ようとするが少女はそれを拒否し引き止められる。


「いや、あなたが倒したのにタダでなんて貰えないですっ」


「かといって、俺も特に必要ないんだけど‥‥」


魔石。

この世界では魔物の死体は例外なくこの魔石になり、魔力を秘めた魔石は物にもよるが高値で取引される。


少女が受け取らないのも無理はなかった。


「本当に大丈夫だから。じゃ、これで」


だが、あいにくと活動資金は組織から貰っているから必要はらない。

少女に無理矢理渡すと今度こそ王都へ向かい足をーー


「あのっ、私の名前ユリアっていいます!よかったらあなたの案内をさせてくれませんか⁉︎」


‥‥‥‥‥。


「はぁ⁉︎」


王都への街道にカムイの叫び声が響いた。

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