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異世界に土竜転生〜ダンジョンを掘って掘って掘りまくる〜序章

作者: 森野カエル
掲載日:2015/08/27

 俺は掘る。

 掘って。

 掘って。

 掘って。

 掘って。

 掘って。

 掘りまくる。

 目の前の土を掘りまくる。

 俺の手は平べったく大きく、鋭い爪が生えている。

 その鋭い爪で土を掘り進む。

 その掘る腕は短く、茶色く細かい毛で覆われていた。

 どうして俺がこんな目に。

 その呟きは腐るほどしてきた。

 短い腕をしゃかりきに動かし、怒りを土にぶつける。

 くそおおおおおおおおお。

 頭の中で叫んだ時、急に前がひらけた。

「しまっ!」

 俺は土で囲まれた広い空間に飛び出し、そのままベチャリと落ちた。

「イタタタ……」

「キャー――! モンスターよお!」

 女の悲鳴が響き渡る。

「戦闘態勢を取れ!」

 男の怒号で五人の人間たちが、俺に向けて一斉に武器を構えた。

「ひい!」

 俺はすぐに真下の土を掘り、地面の中に逃げた。

 うおおおおお!

 殺されるううううう!

 俺は必死に土の中を進む。

 今の自分は身体が小さく、手足も短い。

 もたもたしていたら追い付かれる。

 手足を精一杯動かし、土を掘る。

 力の限りに掘り進み続ける。

 やがて人間たちの声はしなくなった。

 後ろから土を掘られる気配もない。

 ま、撒いたか?

 そう思った時、また目の前がひらけた。

「しまっ!」

 身体が空中に放り出され、またベチャリと落ちる。

「イタタ……はっ」

 俺は慌てて周りを確認する。

 土で囲まれたその場所には、誰もいなかった。

「よかった……」

 俺は安堵の息を吐く。

「危ない危ない。慎重に行かないと」

 土壁の向こうには、ここと同じような空間の部屋がいくつもある。

 その距離は様々。

 隣の部屋まで数センチしかないこともあれば、何メートルも続くこともある。

 その距離を見誤ると、今みたいに勢いあまって部屋の中に飛び出てしまう。

「今の俺は見付かるとヤバいんだからな」

 今の俺は二頭身のずんぐりした身体で、短い手足からは鋭い爪が伸び、前に飛び出た鼻と小さな目のモグラ型モンスターになっていた。

 人間や他のモンスターに会えば一方的に殺される雑魚モンスター。

 こんな風になる前は普通の人間だったのに……。

「何としても生き延びてやる」

 俺はこぶしを振り上げ、自分を奮い立たせる。

 俺には目標があった。

 こんな目に遭わせたあいつに、一矢報いるという目的が。

 その為に、このダンジョンにも来たのだ。

「よし。やるぞ!」

 俺は土壁に向かうと爪をたて、また掘り始めた。

 当面の目標は、人間や他のモンスターに反撃出来る何かを見付けることだ!


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