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コタロスタ次男の旅、次女の旅
コタロスタの次男は夕日について糸を辿った。毎日の日常のひと時に持ち上がる桃色の異世界。生きている時間は限られているがさらに限られている時。遠い昔から繰り返される桃色の中は始まりから終わりまで繋がる限られた時間のようだ。夕日の中で永遠に続く時間の場所で美しさを享受する。いつか遠い夕日の中で未来の誰かがいる。いつか遠い夕日の中に昔の誰かがいた。美しい歌が世界の始まりから終わりまでを流れている。
コタロスタの次女は、愛の糸を辿った。毛の長い二足歩行の猿人は、仲間が動かなくなったのを見た。冷たく物みたいになった。同じ空間で狩りをした仲間が崖から落ちて動かなくなった。同じ仲間は、違う個人だったと解った。自分ととてもよく似た仲間が動かなくなった。動かなくなったのは自分かもしれなかった。動けなくなるのはある日自分に訪れることかもしれなかった。猿人は一緒に狩りをした時間と動かなくなった仲間に花を送った。仲間の声を、存在を表現して歌った。