繋がった女
コタロスタの左耳とオレンジ色の髪の女の右耳が金色のクモの糸でつながる。二人は音楽を共有している。体というシェルターの外で逢っている。暗黒の中で二人は金色の筋となる。金色の筋は世界の布と繋がる。コタロスタは世界の布のほころびを閉じようとする。女は世界の布を生き残らせようとする。二人の夢は似ている。
暗闇のロビーで天井近くに鳥の巣のように絡まり合った金色の線がある。その薄明かりの下。小さなテーブルを挟んでコタロスタと女は向き合う。女からは強すぎず儚すぎない牡丹の花の香りがする。女はキートーカーだった。
今のキャピタリズムの世の中では金持ちはずっと金持ちのままだし、原発事故や戦争も繰り返されるだろう。小金を稼いで一生働いて行く人々が一番毒も、被害もくらうだろう。しかしそれは昔からずっと変わらずに続いていることで、人類の歴史はそんなもんだよボウヤ。あんたの理想とする自然と一体なんていう世界も先代をみればわかるように虐殺、虐殺だよ。人間なんだから、そもそもその始まりから自然とは袂を分かっているよボウヤ。あんたはアーティストでしょ?あんたはどうするの?
女は金色の繋がっているコタロスタの左耳を舐めた。コタロスタが痺れて動けなくなるほど舐めた。
二人は疾走する深紅の車に乗っている。女がハンドルを握っている。街灯の下の暗い道を疾走する。まぶしい電気の街を疾走する。一直線に疾走する。赤信号でも疾走する。いかなるルールにも縛られず、地上を走る一筋の風になる。女は笑んでいる。コタロスタは助手席で叫ぶ。コタロスタは女の肩を掴んで止めるように言う。




