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情報屋『黒猫』  作者: 夜風 牙声
必読ノ章
1/7

インターネット掲示板で見付けたのは、一つの噂話。

 照明が落とされたままの部屋。時折マウスをクリックする音とキーボードをたたく音だけが狭い部屋に響いている。開かれたパソコンの灯りだけが部屋の中を照らし出していた。脱ぎ捨てられたままの服や読みかけの漫画、食べ終わったファーストフードのゴミや空き缶などが無造作に散らばっている。空中に表示されたディスプレイに映るのはインターネット掲示板。次々と書き込まれていく文字の羅列を眺め、部屋の主は頬杖をついて欠伸を一つ。

 つまらない。

 画面の端に表示された時計は午前二時を示していた。ページをスクロールして何か面白い話の一つでもないものかと視線を巡らせる。顔が見えないのを良いことに罵詈雑言が飛び交う掲示板。中には『呪ってやる』だなんて出来もしないような事が書き込まれていた。

阿保らしい、出来るはずがないだろうに。

別のページに移動しようとしたその時、何やら面白そうなものが目に入った。

『凄腕の情報屋が居るって聞いたんだが知っているか』

『黒猫ってやつだろ? 凄腕だが気紛れな上に多額の報酬を要求するとかなんとか』

 それを皮切りに次々と書き込まれていく『黒猫』と呼ばれる情報屋の噂。先程のくだらないやり取りより余程面白そうだ。クリックをしようと伸ばした手を引っ込め、頬杖をつく腕を逆の手に変えつつディスプレイを覗きこむ。そして、一つのURLが貼られた書き込みを見付けた。

『ここに黒猫の情報が載ってる。ただ、この書き込みがどのパソコンから行われたのかは誰も判らないらしい。凄腕のハッカーがやっても駄目だったって』

 果たしてその情報は嘘なのか、はたまた本当なのか。そのURLにカーソルを合わせてクリックする。無機質な音をたてたマウスには目もくれず、新たなページを映し出す画面を見つめた。一通り目を通し、部屋の主は口を歪める。

 暇潰しに、やってみる価値はある。

 別のウィンドウを開き、確認するのは月の満ち欠け。丁度良い、目的の日は明日だ。情報屋黒猫について書かれたページをブックマークに入れ、静かにパソコンの電源を落とした。

ずっとシリーズ化したいと思って書いていたSSです。

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