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#86 意味深な謎(3)
2人向き合う形になると、父は深く頭を下げた。
「俺が悪いんだ」
父の話によると、父は再び貴哉さんのお母さんと不倫をし、2人でいるところを母が目撃してしまったらしい。
そして相手が貴哉さんのお母さんだと知り、さらに私と貴哉さんが交際していることを知った途端、青ざめた顔で倒れてしまい、今に至るらしい。
私は父に呆れることすらもバカバカしく思えた。
何も反省してない、何も考えてない愚か者にしか見えない。
それはともかく、妙なのは母だ。
以前、父の不倫の話を聞いた時は冷静だったのに、なぜ今回は倒れたのか。
相手が貴哉さんのお母さんだったことが原因なのだろうか。
彼の母と私の母は知り合いだったのか。
倒れてしまうくらい衝撃の大きい出来事があったのか。
母が目を覚ましても、それらの疑問の答えになる言葉は語られなかった。
ただひとこと、
「貴哉くんとは、別れて」
それだけ。
「どうして!?彼のお母さんのせい?でも貴哉さんは何にも悪くないでしょ!?勝手なこと言わないで!」
「そうじゃ、なくて……」
「じゃあ、何なの!?」
「とにかく、彼とは関わらないで……」




