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#65 温もりと孤独(6)

そんな私を、浅香くんは強く抱きしめた。



「……辰巳は、はじめは殴るつもりはなかったらしい……。ヒメちゃんの言葉が胸に刺さったからって……。だけど、拓馬がヒメちゃんのことを侮辱したって!それで辰巳がキレて……!」



浅香くんの腕に力がこもった。



彼もナギのことを大切だと思ってくれているんだ。



……すべての原因は私。



私の存在のせいで、たくさんの人を傷付けた。



嗚咽の止まらない私の背中をさすりながら、浅香くんは口調を穏やかにした。



「でも、今回の件で、ヒメちゃんや辰巳が受けていたいじめが学校側に把握されたし、拓馬の過ちも明らかになって、拓馬も退学処分になったよ」



「でも、ナギはいない……!」



私が大声を出すと、それ以上に彼も声を荒げた。



「俺がいる!!」



はっとして彼の顔を見ようとしたけれど、その前に強く抱き締められて、彼の首元しか見えなくなった。



「……辰巳からヒメコを奪おうとは思わない。ヒメコに俺を向かせようとも思わない。でも、俺は本気でヒメコが好きなんだ!……ヒメコの幸せが俺の幸せだから、辰巳がお前を振ったときも、ヒメコを守れるのはお前しかいないって説得したんだ。……でも、辰巳はお前の側にいられなくなった。だから辰巳がいない間だけでいい、俺にお前を守らせてくれ!!」



「浅香くん……」



こんな罪な私にも、味方がいることが嬉しかったのと同時に、申し訳ない気持ちが沸き起こった。



「……私を守る価値なんて、これっぽっちもないよ。でも、私も浅香くんのことが、大好きだから……、そばにいてほしい、……それだけ」



本当は、そばにいてもらう資格もないってわかってる。



でも、私を思ってくれる浅香くんの気持ちを無下にできないから……、この気持ち、許してもらえますか……?

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