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#61 温もりと孤独(2)

傷は思ったより浅かったようで、頸動脈を大きく損傷しておらず幸いにも大事には至らなかったものの、しばらくの安静状態が必要となった。




やっぱり、ナギには事実を話しておくべきだと思った。



意を決して、私は口を開いた。



「ナギ、あのね……」



彼は静かに、私の話に耳を傾けてくれた。



「………私……、強姦されたの……」



ナギはピクッと片眉を上げただけで、それ以外のリアクションはなかった。



「軽蔑する……?」



私は涙目になりながら問いかけた。



拓馬に襲われたときの恐怖が蘇りつつあった。



「……やっぱりな」



ところがナギから返ってきたのは、予想外の返事だった。



「実は、ヒメコが学校から怯えながら出て行くのを見てたんだ。それで次の日に真相を確かめようとしたら頬にアザがあって、しかも俺が触れるのを拒否してきた。だから絶対誰かに殴られた、最悪レイプされたのかもって……」



「ごめんなさい……」



「なんでヒメコが謝るんだよ。俺は絶対にヒメコを軽蔑したりなんかしない。……それで、誰にやられたんだ」



「……拓馬」



私は小さく呟いた。



ナギははっと息を呑んだようだった。

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