#59 恋愛感情の闇(6)
次の日、私は学校を休んだ。
何もする気が起きず、ぼんやり天井を見つめていた。
……一体、私の存在意義って何なんだろう。
クラスメートからいじめられている。
友達もいない。
親友を自殺に追い込んだ。
強姦された。
恋人とすれ違った。
……私に、生きる価値なんてあるの?
何も信じられない。
何も受け入れられない。
この先、どんな未来が待ち受けているのか、そう考えると、酷く恐ろしい気持ちになった。
もう、人生の先を知りたくない……。
もう、終わりにしたい……。
私は、包丁を握りしめていた。
震える手を抑えるように、刃をぐっと首筋に当てた。
こんな人生になったのは、元を辿れば弥生に嘘をついたからだ。
だから、弥生と同じように、死のう。
彼女のように、自らの首を切り裂いて……。
バクバクと心臓がうるさい。
怖い。
怖いよ。
私は恐怖心と戦いながら目を閉じ、手に力を込めた。
内側に刃を擦り付けて、柄を手前に強く引く。
次の瞬間、首筋が焦げるように熱くなって、何も考えられなくなった。
カランと包丁が手から滑り落ち、私の身体は崩れ落ちた。
ドクドクと血が溢れ出る感覚があった。
漂う鉄の香りが、あの日のことを彷彿とさせた。
……どう、私の死に様は、美しいですか?




