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#53 味方(10)
振り返ると、ナギは視線を逸らしながら頬を朱に染めていた。
「……そんなの、俺が悪者みてーじゃねーか」
私は自然と笑みを零しながら頷いた。
ナギは、私の髪や身体を洗ってくれた。
熱のせいなのか、傷が痛むせいなのか、私はぼんやりとナギに身体を預けていた。
「じゃあ、次は私がナギの身体洗う」
冗談半分でそう言うと、
「ケガ人に、んなことさせられっかよ……。また今度な」
とナギは赤くなりながら照れていた。
「また、今度もあるの……?」
私は真顔で言った。
「え……」
ナギは眉をひそめ、葛藤しているような表情をしてから、私をぎゅっと抱きしめた。
私の胸が、直接ナギの胸に押しつぶされて、速い鼓動に気付かれてしまったと思う。
でも、ナギも同じだった。
「……俺、気付いたんだ。他人に何言われてもお前といたいって……」
私はナギの背中に腕を回した。
「私も、ナギといたいの……!また、彼氏になってくれますか……?」
ナギは微笑みながら頷いて、熱くて甘い口付けをくれた。
全身がとろけてしまいそうなくらい気持ちが良くて、幸せだった。




