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#50 味方(7)
ついに50話目突入!
こんな小説をここまで読んでくださった方、
本当に感謝の気持ちで
涙が出そうです(´Д` )
……が、水はかからず、その代わり温かいものが私を包んだのを感じた。
「え……」
思わず顔を上げた。
私を抱きしめて水から守ってくれたのは、私がずっと想っていた懐かしい人だった。
私の代わりに濡れた彼の姿が涙で滲んだ。
「どうして……うっ……」
私たちの横に回ってきた女子生徒が、私の顔にホースの水を当てた。
思い切り水を飲み、鼻からも水が入って、私は咳き込んだ。
「この女から離れないと、辰巳くんももっと濡れちゃうよ?捨てた女と一緒にずぶ濡れなんて、イヤでしょ?」
そう言って、女子生徒は私の全身に水をかけた。
「ナギ、逃げて……!」
だけど、ナギは私を抱きしめたまま、一緒に濡れた。
抱き合ったまま微動だにしない私たちを見て、女子生徒は舌打ちし、水を止めた。
「行くぞ」
ナギは水が止まるのを見計らったように、私の手を取って掛け出した。
ナギに手を引かれて校門まで来ると、突然こめかみに激痛が走った。




