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#45 味方(2)
彼はいつもこうだった。
浅香くんといると、自然と笑顔になれる。
「俺ん家、寄ってく?」
浅香くんの突然の言葉に、私は真っ赤になった。
「なっ……な……」
あわてる私を見て、浅香くんはクスクス笑った。
「あ、ヤラシーこと考えちゃった?そういう意味じゃなくて、髪とか服とか乾かしてくかってこと。親に黙ってたいんでしょ?」
「あ……」
私は恥ずかしさにますます顔を赤らめながら、コクリと頷いた。
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
「でも、ヒメちゃんがお望みなら、俺はいつでもウェルカム!」
「もう……!」
浅香くんは立ち上がって私の手を取った。
「行こ」
ナギとは違う男の子の手にドキドキしながら、浅香くんの家に向かった。
「……てことはさ、ヒメちゃんはいっつも辰巳と家であーんなコト、こーんなコトしちゃってるわけ?」
歩きながら、浅香くんは少しふてくされたように言った。
「えっ……!う…っ……」
私があわてながらも否定できなかったことに彼はクスッと笑って、
「ごめんごめん、ちょっとイジメすぎちゃったね」
と微笑みを見せたが、それがやけに切なげだった。




