#44 味方(1)
「浅香……くん?」
私が名前を呼ぶと、彼は私の頭にタオルを乗せて、「使えよ」と言った。
浅香龍くん、ナギがヤンキー時代によくタッグを組んでいた不良だ。
中学校は違ったけれど、私とも仲良くしてくれていた。
私は彼に連れられて、校地から出た。
「学校、来てたんだ」
彼はよく、喧嘩や補導を受けて、停学になっていた。
「停学明けて学校に来てみたら、ヒメちゃんがこんなコトになっててビックリ。何があったんだよ?」
私は今までのことを全て話した。
浅香くんは、静かに私の話を聞いてくれた。
ナギの話をして、泣いてしまった私を優しくなだめてくれた。
「ヒメちゃんは何も悪くねーよ!俺は味方だかんな。……にしても辰巳の奴、こーんな可愛いコをほっとくなんて、どんな神経してやがんだ」
浅香くんは私の頭をポンポンと叩いた。
「他の男に取られちまっても知らねーぞ?例えば、俺とか」
彼はにーっと笑って私に抱きついてきた。
「もう、冗談が上手いんだから」
私は鼻を赤くしたまま笑った。
浅香くんは頬を膨らませた。
「ヒメちゃんはあしらいが上手いよなー。俺は本気だぞ?」
私から身体を離して、彼はまた笑った。




