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#43 喪失の先に(5)
教室に着くと、一瞬視線が私に集まった。
気にせずに進むと、私の机が倒されているのが目に入った。
ーー標的が、私になった。
ゾクッと寒気がした。
でも私は、涙を堪えるように唇を噛み締め、机を元通りにして、何食わぬ顔で席についた。
それを見ていたクラスメートは眉をひそめて、コソコソ話し始めた。
……こんなことで負けていられない。
私は、弥生を死に追いつめたもののひとりとして、戦わなければならない。
……同じく、彼女を死に追いやった奴らの中で。
その屈辱を私は正面から受け止めなければならない、そんなことでしか罪を償えない、そう思った。
次の日もその次の日も、私への嫌がらせは続き、日に日にエスカレートしていった。
私とナギの破局も噂として広まった。
それでも私は誰にも相談せず、ひとりで耐えた。
親にさえ、話さなかった。
ある日、私はバケツで水をかけられ、濡れたまま廊下を歩いていた。
すると、突然目の前にタオルが差し出された。
驚いて顔を上げると、見覚えのある姿が目に入った。




