41/89
#41 喪失の先に(3)
弥生が自殺をしてから、私はさらにクラスメートから睨まれるようになった。
弥生がいなくなった今、私のそばにいてくれる友人は誰ひとりいない。
『弥生、自殺するくらい辰巳くんのこと好きだったんだー』
『ちょっと重くない?』
『てか、こんな状況になって、よくあの2人付き合ってんな』
『ホントに。目障り』
クラスメートは、弥生の両親が別居していたことを知らない。
殺害された高山航さん、が弥生と関係があったことも知らない。
ただただ、私だけが原因だと、そう信じ込んでいる。
私はナギとの交際に限界を感じた。
ナギとは別れたくない。
でも、自分のせいでナギにまで害が及ぶのはもっと嫌だ。
そんな葛藤を繰り返していたある日。
帰り道、彼は公園に寄った。
大事な話をする時、彼はいつもここに来る。
私は覚悟を決めた。
「……別れよう」
彼は私を見ずにそう告げた。
私は静かに涙を流して黙っていた。
「……俺と付き合ってるせいで、ヒメコが悪く言われることに耐えられない」
彼はきつく私を抱きしめた。
苦しくて息ができなかったが、この温もりもこれが最後だと思うと、そんなことはどうでもよかった。




