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#39 喪失の先に(1)
気がつくと、私はベッドの上にいた。
「ここは……?」
ふと、血塗れの弥生の顔を思い出して私は勢いよく起き上がった。
「ヒメコ!!」
「!!」
人がいたことにビクッとして振り返ると、心配そうなナギの顔が飛び込んできた。
「大丈夫か!?救急車が来てまさかと思ったら、ヒメコも運ばれて来てビビったよ!」
ナギは、私が無事なのを確認して、ひとまずホッとした顔を見せた。
私は、ナギの手を握った。
「ね……、弥生は……?」
うるさい心臓を抑えながら、私は彼の顔を見つめた。
お願い、あいつも大丈夫だ、って言って……!?
ところが、彼は私の手を強く握り返し、俯いて首を静かに振った。
え、それって……。




