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#34 堕落の果てに(6)
帰り道、私たちの口数は少なかった。
「……まさか、両親が別居してたなんてな……」
ぽつりとナギが呟いた。
「……タイミング、悪かったよね……」
私は俯いた。
私がナギと付き合ってることをもっと早く明かしていたら、弥生の苦しみを減らせていたはずだ。
「……ヒメコ」
ナギは優しく私の手を握った。
「ナギ……」
不安を打ち消すように、彼の肩に頬を寄せた、その時。
ナギの携帯が鳴った。
「もしもし」
何故だかわからないけれど、胸騒ぎがして、ナギの袖口を握りしめた。
眉を寄せてナギの横顔を見つめた。
どうか、何事もありませんように……。
しかし、私の予感は的中した。
ナギが叫んだ言葉の意味を理解できず、私は呆然と立ち尽くした。
「航が、殺された……?」




