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#33 堕落の果てに(5)

弥生の声が切なく響いた。



私は首を振った。



「そんなことないよ」



だが、弥生は顔を真っ赤にして言った。



「……愛し合って、人生を一緒に過ごすって決めて、そして、私が生まれて……。それなのにどうして……?結局、別々になるなら、私を苦しめるなら、私なんて生まないで欲しかったよ!」



私は弥生を強く抱き締めた。



「馬鹿なこと言わないで!……苦しいことがたくさんあるのが人生じゃない。いっぱい苦しんで悩んで、でもその分、幸せもいっぱいあるから……。今以上の苦しみなんかない、未来には幸福がたくさん待ってる……そうでしょ?」



弥生は細く頼りない腕を私の背中に回した。



「……そうだね、ごめん……」



それから弥生が落ち着くと、私たちは他愛ない話をして笑い合った。







「じゃあ、何かあったら連絡してね。私たちは弥生の味方だから」



玄関での別れ際に、私は弥生にそう声をかけた。



「あぁ、ちゃんと飯食えよ」



ナギも穏やかに微笑んだ。



弥生はニッコリ頷いてから、眉を下げた。



「……まだ、学校には行けないと思う」



私は、さっきまでの弥生の机の上の光景を思い出した。



今、弥生は学校に来ちゃいけない……。



そしたら絶対に……。



「大丈夫だよ、ゆっくりで。でも、私たち、弥生のこと待ってるから」



力強く頷いて、私たちは弥生の家を後にした。

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