31/89
#31 堕落の果てに(3)
ナギには、考えていること全てを見透かされている気がした。
「……弥生の家に行こう……」
私から身体を離しながら、ナギはそう言った。
「……でも……」
私たちが弥生に会いに行って、何かしてあげられる自信はなかった。
「俺たちが会いに行かなきゃ、誰が弥生を助けてやるんだよ……。このままだと、弥生、ヤバい気がするし……」
「ヤバいって!?」
ナギは何も答えず、弥生の机の上を片付け始めた。
ナギの言葉が変に胸に引っかかって、ドクドクと心臓が痛んだ。
ピンポーン
「……あ、ヒメコ……」
家から出てきた弥生は少し痩せていて、顔色も悪かった。
「……」
かける言葉が見つからず、しばらくの沈黙が続く。
「弥生が学校休んでるって聞いたから、勉強教えに来たんだ。……迷惑だったか……?」
沈黙を破ったのはナギだった。
弥生はか弱い笑みを浮かべて首を振った。
「そんなことないよ。すごく嬉しい。……よかったらあがって?誰もいないから」




