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#29 堕落の果てに(1)
翌日、弥生は学校に来なかった。
特に私や弥生に対する悪口や嫌がらせはなかったけれど、私はクラスメイトと距離を置いた。
その次の日も、その次の日も弥生は欠席し、1週間が経っても学校に来ることはなかった。
次第に弥生の不登校疑惑が広がり、根も葉もない噂が囁かれ始めた。
『弥生ちゃん、今日も学校に来ないね』
『何、不登校?』
『どうせ、周りの目が気になるんでしょ?ヒメコとの件があって』
『なんか、弥生学校辞めるとか聞いたけど?』
『マヂで?やばくね?』
私は弥生が心配で仕方がなかった。
自分が叩かれていることは、直接は知らなくても、わかっているはずだ。
私が何とかしてあげなくちゃいけないのに、その方法が全く思いつかない。
こんな状況に陥ったら、人間ってやり直せないものなのだろうか……。




