#24 美しき愛情(2)
教室に入ろうとした時、後ろから声をかけてきたのは朋花だった。
走ってきたらしく、肩で息をしている。
「朋花、どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、どうしてアンタたち、辰巳くんと3人で歩いてたの!?まさか、もう付き合うことになったとか!?」
朋花の興奮した大声が響き、一瞬クラスの視線が私たちに集まる。
返事に困っていると、弥生があっさりした顔で答えた。
「違う違う。凪冴くんはヒメコと付き合ってたの。それで、2人が一緒に登校してたところに私が割り込んじゃっただけ……って、ごめん、ヒメコ!私、邪魔だったよね!?」
「それなら全然気にしてないよ。ナギも気にしないから、普通に声かけて?」
三角関係のライバル同士となっていた2人が何事もなかったかのように平和な会話を繰り広げていることに戸惑いを見せる朋花。
「えぇっ、ヒメコ、辰巳くんと付き合ってたの!?……てか弥生、アンタはもう辰巳くんのことはいいってこと?」
「うん。今も素敵だとは思うけど、親友の彼氏に手は出さないよ。それより!凪冴くんがイケメンな友達を紹介してくれたんだけど、それがもうタイプど真ん中でさ!」
「そ、そうなんだ。よかったね」
朋花は腑に落ちないといった様子で、私たちの元から離れていった。




