#23 美しき愛情(1)
「おはよう、ヒメコ!」
次の日の朝、弥生はナギと登校していた私を見つけて駆け寄ってきた。
「弥生、おはよ」
「凪冴くんもおはよう」
「はよ。てかお前、朝から元気だな」
ナギと弥生は、友達として仲良くなった。
そして、私とナギの交際を隠すことをやめた。
元々、厄介なことにならないように隠していたのに、それが仇となって今回の件が起きてしまったからだ。
私たち3人は、教室までの道のりを一緒に歩いた。
ふざけ合って、笑い合って……まるで、昨日までのことが嘘のようだった。
校舎に入り階段をのぼると、クラスが違うナギとは別れた。
2人になった私と弥生は、自分たちの教室まで歩を進めた。
「ねぇ、航くんかっこよかったね!」
航くんというのは、ナギが弥生に紹介すると言った友達のことだ。
写真を見ると弥生の好みのタイプにピッタリで、昨日ナギに無理矢理頼んで会わせてもらっていた。
航くんも弥生のことを気に入ってくれたようで、今度はふたりで会う約束をしていた。
「私も会ったことない人だったけど、優しそうだったし、弥生とお似合いだったよ」
弥生と航くんが上手くいくことを私は心から願った。
辛い思いをさせた分、いや、それ以上に弥生には幸せになってほしい。




