#22 悪魔になった私(10)
「俺、中学ん時、やんちゃしてたんだ。俺は覚えてねぇけど、かなり暴れ回ったから、その頃にやり合った奴らだったんだと思う」
「凪冴くん、ヤンキーだったの……!?」
弥生は信じられないといった顔つきで彼を見上げた。
「ヤ、ヤンキーってか……」
「昔のナギ、めちゃくちゃ怖かったんだよ?喧嘩もすっごく強くて……でも、高校入ってからは素行改めて、昔のことも隠してるんだよね」
私がからかい半分でそう言うと、
「余計なこと言うな……っ」
と、ナギは顔を赤らめた。
「ホント、今からはあんまり想像つかないよね」
弥生にそう笑いかけると、彼女は突然切なげな表情を浮かべた。
「……私が入り込んじゃいけなかったんだね。ヒメコと凪冴くん、すごくお似合い……」
私たちは言葉を失った。
「ほんと、ごめんね……。言わなきゃって思ってたんだけど、なかなか言い出せなくて……弥生を騙してた」
「いいの、気にしないで?そんなことより凪冴くん!昔ヤンキーだったってことは、強くてかっこいいお友達いっぱいいるんじゃない!?紹介してよ!」
ケロッとした明るい表情を見せる弥生に、私は大きな安心感を覚えた。
「え……!?えーと……弥生みたいな女のこと好きそうなダチがいるな……」
突然話を振られたナギは、戸惑いながらも弥生に紹介できそうな友達の連絡先を探し始めていた。
「イケメンなんでしょうね?」
「もちろん。ルックスいいのに女に飢えてるヤツがいんだよ」
「それってどういうことよ!?」
辺りには心地好い笑いが響いていた。
……残酷な運命が私たちを待ち受けているとも知らずに。




