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#19 悪魔になった私(7)
身体の力を抜き、「移動するか」という男の声をぼんやり聴いていた、その時。
ドス
と鈍い音がして、弥生についていた男のくぐもった呻き声がした。
ぱっと瞼を開くと、男は倒れていて、今度はすぐ間近で同じ2種類の音が聴こえた。
そして、するっと男の身体が離れたと思ったら、すぐさま別の何かに抱きしめられた。
その温もりは妙に懐かしく、その正体がナギであると気付くのに時間はかからなかった。
「ナギ……!」
救われた喜びと、彼が現れた驚きの両方が入り混じって、鼓動が高鳴った。
ナギは右腕で私を抱え、左腕で弥生を庇うように立ち、転がっている男たちを見下ろした。
「……んだ、おめー」
男が脇腹を抑えてよろよろと立ち上がりながら言う。
「おめーらこそ、何だよ」
ナギが鋭く目を細めると、もう1人の男も立ち上がり、顔を一気に近づけた。
「あ?いいトコ邪魔してくれてよ、どうなってもいーのか?」
男が拳を持ち上げると、ナギは私をぎゅっと抱きかかえて、男を舐めるように見た。




